研究概要 |
生後1歳~2歳代における役割交替模倣と自他認識の発達について,定型発達幼児と自閉症幼児を対象に検討した。研究は定型発達幼児を対象とした課題場面での横断的研究,自閉症幼児を対象とした課題場面および保育場面での参与観察研究で構成された。役割交替模倣を測定する課題としてサカナとタモ課題,自己鏡映像認知を測定する課題としてマーク課題,積極的教示行為を検討する課題として他者の課題解決困難場面提示課題を用意し,課題間の連関を検討した。その結果,定型発達幼児では,サカナとタモ課題の通過率は1歳半から2歳にかけて有意に増加した。また,サカナとタモ課題の通過は他の2課題を有意に相関していた。自閉症幼児においても定型発達幼児と類似した傾向が見られたが,他の2課題に対して自己鏡映像認知の成績がやや特異であった。総合して,役割交替模倣が自他認識の発達を調べる上での有益なマーカーとなりうることが示唆された。
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