研究概要 |
非特異ファノ四様体のうち,2つの(3,1)型端射線収縮射を持ち,それらの例外因子が互いに交わるもの可能性を分類した.これは,後藤陽介氏との共同研究である.先行結果として,月岡透氏が,2つの収縮射のうちの一つが非特異多様体の爆発になっていること,および,2つの例外因子がともに非特異であることを仮定して分類を得ていたが,この仮定を取り除くことに成功した.その手法は月岡氏の方法と重なる点もあるが,異なる点は,非特異ファノ三様体で大きな成功を収めた2-ray gameという手法を適用した点である.結果については,現在のところ,可能性の分類ではあるが,月岡氏の構成した例に加えて,新しい例を二つ構成した.おそらくこれがすべての例であると予想している.なお,我々が構成した例においては,2つの(3,1)型端射線収縮射の像が,いずれもGorenstein特異点を曲線に沿って持つファノ四様体になっており,大変珍しい例である.それらが有理的であるかどうかを決定するのは今後の興味深い課題である. また,種数4の曲線上の大域切断を持たないtheta chracteristicに対して,三角的対称性という概念を定義し,種数4の曲線とそのようなtheta chracterishcの対のモジュライ空間と1/2(1,1,1)-特異点を二つ持つ種数8のQ-ファノ三様体のモジュライ空間の関係を調べた.これは,Udine大学のFrancesco Zucconi氏との共同研究である.特にこのモジュライ空間の双有理モデルを構成した.この双有理モデルを使って,モジュライ空間が有理的であるかどうかを決定するのが今後の課題である. 代数群の半等質空間を用いたQ-Fano三様体の記述についても前年度に継続して研究した.すでに論文にまとめられるだけの成果を挙げているが,代数群の表現論と結びつけてさらに深く研究するため,次の科学研究費交付期間に研究を継続する.
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