研究課題/領域番号 |
20H00024
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
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研究分担者 |
阿部 芳郎 明治大学, 文学部, 専任教授 (10221730)
栗島 義明 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (60445864)
宮田 佳樹 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (70413896)
佐々木 由香 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 特任准教授 (70642057)
渋谷 綾子 東京大学, 史料編纂所, 特任助教 (80593657)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,720千円 (直接経費: 34,400千円、間接経費: 10,320千円)
2023年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2022年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2021年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2020年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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キーワード | 土器の起源 / 縄文人 / 更新世・完新世移行期 / 狩猟採集民 / 人新世 / 完新世・更新世移行期 / 人類史 / 人類紀 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、土器付着炭化物の窒素・炭素同位体比と、残存脂質分析から縄文時代草創期から早期の土器の使用目的を検討する。各手法のメリット・デメリットを、とくに植物質利用の検出能力に着目して、再検討する。さらに、土器付着物で放射性炭素年代を決定することで、土器から得た同位体・脂質・残留デンプンの情報を時系列データとして解析し、古人骨の同位体から復元された食生活もあわせて比較することで、更新世から完新世の気候変動がヒトの食生活や行動に与えた影響を検討する計画である。
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研究成果の概要 |
縄文時代草創期・早期中心に土器付着炭化物の炭素・窒素同位体比、脂質分析、デンプン粒分析、植物組織の分析を実施した。脂質分析では、植物組織付着資料でも水産物の影響が強く、植物利用の検出が難しかった。一方、土器付着炭化物の同位体比は加熱されたタンパク質の内容を定量的に反映することが分かった。縄文時代早期初頭には沿岸と山間で窒素同位体比が大きく異なっており、早期の土器は調理具であると考えられる。一方、草創期土器の窒素同位体比では、内陸遺跡でも水産物が多く加熱された傾向が示された。草創期・早期の変化は食生活による可能性があるが、人骨との比較が少ないので土器機能の時代変化の可能性もまだ否定できない。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界でも最古の縄文土器を理解することは、土器という道具が世界中で使われるようになった理由を考察することにつながる。本研究では、最古の縄文土器は水産物を加熱したという先行研究を支持したが、温暖な完新世になってからは陸上資源の調理にも多く用いられたことが分かった。これは植物のデンプンを利用した新しい食生活が成立し、大量のデンプンを加熱して食べられるようにすることができる機能が、土器の重要な機能であった可能性を示唆している。一方で、最終氷期にあたる草創期に土器で加熱された水産物が食物であったならば、従来考えられていた大型哺乳類中心の狩猟生活とは大きく異なる生活だった可能性も考えねばならない。
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