研究課題/領域番号 |
20H00030
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
塚田 孝 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 客員教授 (60126125)
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研究分担者 |
吉田 伸之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (40092374)
杉森 哲也 放送大学, 教養学部, 教授 (20226468)
三田 智子 就実大学, 人文科学部, 准教授 (80713106)
齊藤 紘子 (山下紘子) 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80736942)
佐賀 朝 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40319778)
上野 雅由樹 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10709538)
彭 浩 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80779372)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,330千円 (直接経費: 34,100千円、間接経費: 10,230千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2021年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2020年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
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キーワード | 近世巨大都市 / 複合的社会構造 / 周縁的社会集団 / 〈史料と社会〉 / 国際比較 / 三都 / 巨大都市 / 都市社会構造 / 周縁性 / 比較史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①日本近世の巨大都市・三都の複合構造について「町」の再検討を軸に解明を進める、②巨大都市の周縁的な領域に焦点を絞り、周辺村落(大坂の難波村など)の史料を共同で集中して調査・分析を行う、③国際的な共同討論の場を設け、〈史料と社会〉の視点に立って、三都の世界史的な位置づけについて理解を深める、という三つの柱を並行して進める。 そのための研究組織として、三都研究会を組織するとともに、難波村・木津村史料プロジェクト、国際的ネットワーク構築チームを設置し、国内外の研究協力者の共同研究・共同討論を推進する。
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研究実績の概要 |
研究目的である、三都(大坂・江戸・京都)について、①複合的な都市社会構造の解明、②周辺村方史料からの巨大都市の照射、③巨大都市の国際比較、の3本柱に即して調査・研究を進めた。研究推進のため、ニューズレターを毎月発行し(現在34号)、研究メンバーの交流を図った。 ①三都研究会を組織し、調査・研究を推進するとともに、成果を共有する研究会を実施した(小円座4回:含む国際小円座)。『シリーズ三都』(全3巻)に加えて、『社会集団史』などの成果と課題を確認する作業を続け、三都の都市社会と史料に関する研究会を開催した。『史料から読む近世大坂』の出版準備は再校の段階である。②難波村史料プロジェクトを設け、大坂南部に位置した難波村の庄屋が村方史料を編集・作成した諸一件史料(成舞家文書)の調査・分析を共同で進めた。19世紀の都市周縁部の実態、町村の構造が窺える「書上書抜帳」「言上帳抜書」をテキストに成舞家文書を読む会を定例で実施した(これまで25回)。道頓堀周辺の周縁的社会構造の解明を図るべく、「浄土宗法善寺一件留」の翻刻・検討を進め、報告書3を刊行した。竹林寺や自安寺関係の史料、湯屋・酒造株・髪結・宮関係史料なども翻刻を蓄積している。 ③国際ネットワーク構築チームを中心に、〈史料と社会〉の視角から、都市と周縁的社会集団の比較史を進めた。前年の国際シンポジウムのフォローアップセミナーを開催(4回)するとともに、その成果に立って、日本と中国、インド、オスマン帝国などの諸研究を〈史料と社会〉の視点から交差させた『周縁的社会集団と近代』を刊行した。上海社会科学院との共同で〈水と都市〉に関する国際シンポジウム、上海大学との都市史共同セミナーをオンラインで実施した。〈史料と社会〉の視角からの比較史の基盤づくりのため、HPの充実を図り、新たに薬種商・吉野五運関係史料に関するのノート(6回分迄)を公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の三本柱に即して、チーム編成を行うとともに、ニューズレターによって全体の進捗状況を共有しながら、研究を進めた。また、出張が制約されたため、オンラインでの研究会を定期的に開催して、研究を蓄積した。①では、『シリーズ三都』に加えて、内容的に関連する『社会集団史』の成果と課題を総括しつつ、三都の都市社会と史料に関する分析を蓄積した。合わせて、全国的に出店を展開する商人の視点から都市社会を見通す分析も試みた。準備を進めている『史料から読む近世大坂』は出版社から刊行の直前まで来ている。京都の周縁に位置したかわた村関係史料(「諸式留帳」)の調査・分析を本格的に開始した。これは第2の柱とも関わるものである。②では、成舞家文書を読む会を定着させ、巨大都市大坂の周縁に位置する「町村」としての難波村の実態解明が大きく進んでいる。また、研究計画を上回って成果報告書〈大坂・難波村関係史料〉として法善寺関係史料集の3冊目をまとめることができた。竹林寺・自安寺関係史料などの翻刻も蓄積している。③では、昨年度の国際シンポジウムの成果をまとめた『周縁的社会集団と近代』を出版した。これは4年目に計画していた総括報告書を先取りしたものである。これによって、次年度に本書を踏まえたフォローアップセミナーを継続し、さらに議論を前に進める条件が確保できた。今年度は、海外との交流はいまだオンラインを中心とせざるをえなかったが、4回のフォローアップセミナーを開催し、そのうち1回はイェール大学などアメリカやシンガポールを結ぶ国際セミナーとして実施した。上海社会科学院や上海大学との共同で国際シンポジウムやセミナーを継続的に開催した。〈水と都市〉をテーマとした国際シンポジウムは、江戸・大阪に関して第1の柱にも新たな視点をもたらす成果を上げた。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者・研究分担者を中心に運営委員会・事務局で緊密に連絡を取り合い、3チーム全体で情報を共有しつつ、研究の芽となる着想や関係史料を紹介する場としてニューズレターを継続し、さらに発展させる。 ①については、三都それぞれの複合的な都市社会構造の解明を進めるとともに、大坂の「町」と仲間の検討を軸に、史料から歴史像を立ち上げていく実践としての『史料から読む近世大坂』の出版をできるだけ早く実現する。国際シンポジウム〈水と都市〉の成果に加え、今年度、総括円座を開催し、その成果を総括報告書『三都の都市社会構造(仮)』にまとめる。その先に次の課題として『シリーズ三都』の成果を発展させた論集を構想する。②難波村史料プロジェクトの活動をさらに強化し、月1回のペースでの成舞家文書を読む会の開催を継続する。翻刻史料集④の刊行をめざす。合わせて、成舞家文書を読む会の成果を報告書「難波村から見通す都市大坂」(仮)にまとめることを検討する。それらを通して、大坂の都市周縁部の社会構造の解明につなげる。次につながる課題として、京都の周縁部のかわた村から都市社会を照射する作業に着手する。 ③国際ネットワーク構築チームを中心に、海外の研究協力者(米国、フランスや中国・オーストラリア)とオンラインのセミナーや打合せなどで緊密に連携を図り、上海(上海社会科学院・上海大学)とイェールでの研究交流セミナーを開催する。『周縁的社会集団と近代』の成果を踏まえたフォローアップセミナーを実施し、大阪での総括円座では、国際的な比較史の成果も盛り込んだ企画とする。
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