研究課題/領域番号 |
20H00044
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠田 雅人 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30211957)
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研究分担者 |
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00315392)
立入 郁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), グループリーダー (30336185)
吉原 佑 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50552379)
鬼木 俊次 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (60289345)
宮坂 隆文 名古屋大学, 環境学研究科, 講師 (80635483)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,330千円 (直接経費: 34,100千円、間接経費: 10,230千円)
2023年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2021年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 遊牧 / 乾燥地 / モンゴル |
研究開始時の研究の概要 |
遊動は不確実な気候下でリスクを空間的に分散する戦略であり、極端気象が多発する現代においても、危機回避に適用可能な普遍的価値をもつ。この視点から、今こそ遊牧の再評価が必要であるが、その基礎となる遊と結びついた牧の理論的研究は少ない。本研究で開拓する遊牧の科学は、遊牧の本質である「遊」と「牧」という異質な活動の統合ダイナミックスを複数の時空間スケールでモデル化し、変動性の大きい環境に適した両活動の最適マッチングを理論化する。
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研究実績の概要 |
昨年度は、モンゴル国における基礎データ・文献の収集、集中調査地域(3地域)の選定を行ったので、本年度は、海外共同研究者の援助を得ながら、現地調査を部分的に開始した。また、人畜地気・各班の基礎データを統合・更新したデータベースの作成を継続し、遊牧様式と環境場の地図化や解析を開始する。具体的には、以下の4点についての研究を実施する。 1 聞き取り調査・社会経済データ収集(人班):昨年度、文献調査した過去1世紀の遊牧様式(遊動の促進・制約要因など)について、時代別に整理した。さらに、集中調査地域であるBayan Unjuulにおいて、牧民の遊動の意思決定過程について聞き取り調査を行い、モンゴル統計局の遊牧様式に関する基礎データの整理を行った。 2 環境解析(地・気班):昨年度、開始した衛星・地上観測の高時空間分解能データベースの作成を継続し、これを用いて、各要素の時空間変動性の解析を行った。衛星データについて、植生はMODIS(NASA)などを用いた。 3 家畜・植生調査(畜班):家畜エージェントモデルにおける意思決定ルールを作成するための、家畜の移動方向・栄養状態変化、草の現存量変化に関する現地調査は来年度に延期した。 4 モデル開発の開始(モデル班):日帰り圏に関して、3の調査から推定される意思決定ルールを考慮し、家畜栄養モデルを搭載したエージェントモデルを開発した。 5 本年度交付繰越分については、2022年度において、ポスドク研究員を1人雇用し、上記3、4の研究活動にあたらせ、成果発表として、ワークショップ「Trans Eurasian Workshop: From Vision to Actions Towards Sustainability」を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年10月までに、事前準備、現地調査を行い、2022年3月までに、現地会議、現地会議の成果とりまとめ、研究成果とりまとめを行う予定であったが、モンゴル国の新型コロナウイルス感染症による影響のため、現地における研究活動を部分的にしか開始できなかった。 具体的に、上記の現地調査(とその事前準備)とは、これまでに選定を行った集中調査地域(3地域)における聞き取り調査のことであるが、上記の理由により、集中調査地域であるBayan Unjuul、1地域においてのみ、牧民の遊動の意思決定過程について聞き取り調査を実施したのにとどまった。同様に、モンゴル統計局を訪問して、遊牧様式に関する基礎データを収集する予定であったが、これも見送った。また、上記の現地会議とその成果とりまとめ、研究成果のとりまとめは、同様の理由により、現地での実施が難しく、Zoom会議などで代用した。以上のような事情により、現地調査や現地会議を主要な活動とする本研究はその進捗が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の現地における研究活動は部分的にしか開始できなかったが、2022年度は全面的に実施し、遅れている部分を取り戻すよう集中的に行う。 具体的には、2021年度、聞き取り調査を開始した集中調査地域であるBayan Unjuulに加えて、他の集中調査地域においても、牧民の遊動の意思決定過程について聞き取り調査を開始する。とくに、研究の遅れを取り戻すために、調査期間を当初の予定より延長し、さらに現地の国際共同研究者のサポート体制を厚くするなどする。同様に、モンゴル統計局を訪問し、遊牧様式に関する基礎データを収集することについても、2022年のみならず、それ以前のデータの収集もまとめて行う。 さらに、これまで手が付けられていなかった家畜・植生の現地調査についても集中的に行う。具体的には、家畜エージェントモデルにおける意思決定ルールを作成するための、家畜の移動方向・栄養状態変化、草の現存量変化を調査するが、これを担当する生態班の研究分担者2人に加えて、新しくポスドク研究員を1人雇用して、強力な研究体制を構築する。この調査は従来の生態調査と比べて、広域的に行うため多くの人手が必要である。このため、現地においては海外共同研究者のみならず、若手研究者などの新たな協力を得て、日本人研究者のサポート体制を強化する。また、広域植生調査においては、車上からの移動調査の新手法を考案して、効率的な調査を行う、家畜の行動調査についても、家畜に装着するGPSをこれまでに多数購入することができたので、これを用いて効率的に行う。以上の現地調査の後には、現地会議を開催し、調査や研究の成果とりまとめを集中的に行う。
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