研究課題/領域番号 |
20H00187
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大谷 栄治 東北大学, 理学研究科, 客員研究者 (60136306)
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研究分担者 |
坂巻 竜也 東北大学, 理学研究科, 助教 (30630769)
福井 宏之 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 精密分光推進室, テニュアトラック研究員 (90397901)
宮原 正明 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (90400241)
Alfred Baron 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, グループディレクター (90442920)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,070千円 (直接経費: 33,900千円、間接経費: 10,170千円)
2022年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2021年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2020年度: 16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
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キーワード | 圧力スケール / 地球核 / X線非弾性散乱 / 音速 / レニウム / 高圧 / 弾性波速度 / 密度 / 高温高圧 / 絶対圧力スケール |
研究開始時の研究の概要 |
地球核を解明するためには,圧力スケール(圧力目盛)の確立が不可欠である. 現在用いられている圧力スケールには,地球核の条件において内核境界(330GPa)と核の中心(360GPa)の圧力差をはるかに超える不確かさが存在する.この問題点を解決するために,高温高圧X線非弾性法によってマルチ メガバール(数百万気圧)領域においてレニウムなどの金属の音速と密度を同時に測定することによって,地球核に相当する高温高圧までの絶対圧力スケールを構築する.そして,この新しい絶対圧力スケールを用いて,核を構成する鉄合金の密度と音速を再評価し,地球核の化学組成と不均質性により確かな制約を与える.
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研究成果の概要 |
高圧下におけるX線非弾性散乱実験および粉末X線回折実験によって,金属レニウムの縦波速度,横波速度と密度を室温において測定し,その結果を用いてレニウムの圧力と密度の関係を表す新しい絶対スケールを従来の2倍となる世界最高の圧力230GPaまで決定した.その結果,従来のスケールは,地球核の圧力領域において20%以上も圧力を過大評価していたことが明らかになった.この圧力スケールによると,内核の条件では,固体鉄の密度が地震学的に観測された密度より8%も大きく,その密度は,従来の圧力スケールで見積もられていた密度差の約2倍に相当し,核には従来の推定よりも軽い物質が多く含まれていることが明らかになった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回決定したレニウムにもとづく絶対圧力スケールは,地球の核の構造や組成を見直す結果を示した.しかし,その影響は地球の核だけに限定されず,地球の核よりも大きな圧力の下にある太陽系の他の惑星や地球よりも巨大な太陽系外惑星の内部構造の研究にも変更を迫るものである.さらに,物性物理学、化学、そして材料科学で取り扱われるあらゆる物質の超高圧下における振る舞いに対しても,再考を促す成果であり,高圧科学分野全般に大きな影響を与えるものである.
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