研究課題/領域番号 |
20H00488
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
斎藤 芳郎 東北大学, 薬学研究科, 教授 (70357060)
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研究分担者 |
有澤 琴子 東北大学, 薬学研究科, 助教 (00813122)
金子 尚志 (星 尚志) 東北大学, 薬学研究科, 助手 (20907993)
外山 喬士 東北大学, 薬学研究科, 講師 (50720918)
三田 雄一郎 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (70609122)
堤 良平 東北大学, 薬学研究科, 助教 (50435872)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,630千円 (直接経費: 35,100千円、間接経費: 10,530千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2020年度: 19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
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キーワード | セレン / インスリン分泌 / インスリン抵抗性 / 地域住民コホート / ICP-MS / 転写因子 / コホート研究 / セレノプロテイン / 重金属 / セレノプロテインP / 2型糖尿病 / 発現制御 / NRF2 / スルフォラフェン / lncRNA |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、血漿中のセレン含有タンパク質セレノプロテインP(SeP)が2型糖尿病患者で増加し、過剰SePが骨格筋のインスリン抵抗性や運動抵抗性を増加すること、膵β細胞のインスリン分泌を抑制することを見いだした。本研究では、SePによる糖代謝異常の鍵となる“SePの発現制御機構”および“過剰SePによる糖代謝悪化メカニズム”を明らかにする。本研究により、SeP発現を低下する化合物や、過剰SePによる代謝障害を改善する方法を確立し、過剰SePを標的とした新しい生活習慣病予防・治療法を提案する。さらに、地域住民コホート研究に参画し、高血糖予知マーカーの確立に挑戦する。
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研究実績の概要 |
これまでの研究から、血漿中のセレン含有タンパク質セレノプロテインP(SeP)が2型糖尿病患者で増加し、過剰なSePは2型糖尿病の極めて重要な治療標的であることが明らかとなってきた。本研究の目的は、必須微量元素セレンの代謝において中心的な役割を担うSePの発現制御機構を明らかにし、2型糖尿病で増加したSePによるインスリン抵抗性増加・インスリン分泌不全・血管障害を分子レベルで解明することである。さらに、コホート研究に参画し、血中SePレベルを指標とした疾患リスク評価により、健康長寿社会の実現に資する新しい生活習慣病予防・治療法を開発する ことも目標とする。今年度の本研究では、肝臓におけるSeP発現制御機構の解明(課題1)、過剰SePによる糖代謝・血管恒常性悪化メカニズムの解明(課題2)、コホート研究(課題3)、以上3つの研究を実施した。課題1では肝臓におけるSeP発現制御機構について、確立したプロモーター活性評価から、SeP発現の増加に重要なプロモーター領域を決定し、関連する転写因子を同定した。課題2では、過剰SePによる糖代謝悪化メカニズムについて、過剰SePによるインスリン分泌不全について、亜セレン酸やセレノシスチンなどセレンの化学形態の違いによってインスリン分泌を障害する機構が異なる事を見いだした。特に亜セレン酸はミトコンドリア障害が強く出ることや、セレノシスチンでは細胞内カルシウム流入以降に障害のポイントがあることを明らかにした。今後、関連するセレン含有タンパク質を特定する。課題3では、東北メディカルメガバンク機構や国内および海外の共同研究者が収集したコホート検体・患者検体について、SePレベルおよびセレン・各種重金属濃度(ICP-MS解析)を評価した。SePレベルや元素レベルに及ぼす生活習慣や生化学検査値、また疾患の進行度との相関性を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の研究により、べーサルでのセレノプロテインP発現を制御する転写因子およびその認識配列を同定することができた。次年度は、各種刺激による変動と生理的・病理的意義の解明を行う。SePによる糖代謝障害機構についても膵β細胞モデルを用いた解析からインスリン分泌に至る経路において、どの部位をどの因子が障害するかが明らかとなり、今後さらに詳細な機構を明らかにするとともに、創薬へと展開する。コホート研究も順調に進み、複数の研究機関との共同研究から、SePレベルと疾患リスクとの関連性について進展が見られている。以上より概ね順調に指点していると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度の課題をさらに発展させ、課題1では、高血糖を含む各種刺激による発現上昇と転写因子との関連性を明らかにする。また、SeP KOマウスの知見から、SePが二価鉄生成に重要な役割を果たすことが見いだされてきたため、その分子機構も併せて明らかにする。SeP発現を抑制するスルフォラフェンSFNの作用機序に関する知見について、転写制御とリソソーム活性化などの分解系の寄与も明らかになってきたため、論文発表まで進めるとともに、新たな創薬へとつなげ、新奇化合物の同定および特許出願まで進める予定。課題2では、膵β細胞のインスリン分泌におけるSePの役割について、さらに詳細な分子機構を明らかにして論文発表まで進める。特に、過剰SePによる膵機能障害では、障害を担う分子を特定する。課題3では各コホート研究での測定結果をまとめ、各因子の多重相関解析からリスク因子の同定へとすすめる。
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