研究課題/領域番号 |
20H01257
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中山 俊秀 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70334448)
|
研究分担者 |
横山 晶子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(RPD) (40815312)
冨岡 裕 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD) (90816505)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
|
キーワード | 消滅危機言語 / 文法 / 言語使用ドメイン / 言語意識 / 危機言語 / 言語変化 / 言語運用能力 / 奄美諸語 / 琉球諸語 / 社会言語学 / 奄美方言 / 言語推移 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、奄美・沖永良部島の消滅危機言語コミュニティーにおいて、伝統知を失いつつある若年層話者の文法知識と運用能力、言語選択・使用のパターンを包括的に調査・記述し、そこに観察される体系性を言語に対する意識・心的態度に関連づけつつ多角的に分析する。それにより言語消滅プロセスの動態の把握とその変化を生み出すメカニズムの解明をめざす。本研究を通して得られる研究成果は、近年そのニーズが急激に高まっている言語再活性化活動を効果的に設計するための基盤的知見となる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、消滅の危機に瀕している奄美・沖永良部島の言語コミュニティにおける若年層話者の文法知識と使用実態の調査を行い、消滅危機言語の消滅変化の動態とメカニズムを解明することを目的としている。 本年度の研究では、文法知識・言語能力に特に焦点を当てつつも、言語使用、言語意識の3つの領域での研究基盤づくりも進めた。若年層話者の文法知識・言語能力については、基本語彙や基本文構造の知識を測るための聞き取り調査を行い、言語知識の世代間の差異の明確化を進めることができた。また、自然談話データの収集を行い、文の生成・理解能力に留まらない言語運用能力面での言語能力についても基本的な分析ができた。日常の中での言語使用の実態に関しては、社会言語学的アンケート調査およびインタビュー調査を行い、社会的関係性や場面による言語選択のパターンなどについての予備分析を行なった。言語意識の実態把握については、アンケート調査およびインタビュー調査をとおして、伝統言語とその使用に対する意識や感情的態度、伝統言語と日本語に対する言語意識の違いに関するデータの収集を進めた。 総じて、本年度の研究により、若年層話者の文法知識・言語能力、言語使用の実態、および言語意識に関する調査、分析基盤を構築することができ、消滅危機言語の消滅変化の動態とメカニズムの解明に向けて重要な研究の進展があった。今後は、これらのデータを基に、より高度な調査・分析を進めていくことが期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度以来の新型コロナ感染症の蔓延の影響により、本研究の推進にとって必要不可欠である現地調査が長期にわたって行えない状況が続いたため、本年度の研究は大幅に遅れることとなった。文書によるアンケート調査やオンラインでのインタビューなどによって補ったが、調査方法に制約が大きく思うようなデータ収集が困難で、計画されていた分析をするために十分なデータを集めるのに非常に長い時間を要した。しかしながら、本年度の研究を通して、計画されていた分析を完了することができ、次の研究フェーズにつなげていくための研究データの蓄積、分析の基盤作りは行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究を通して、計画されていた研究データの蓄積、分析の基盤作りができたので、次の研究フェーズに研究を発展させていく。具体的には、若年層の言語構造知識の特性に関して得られた知見を、社会的場面での言語選択、心理的な面での言語意識の観察・分析に結びつけていくことで、若年層の伝統言語使用を形作る要因を多面的に明らかにし、言語衰退のメカニズムの解明へのつなげていく。
|