研究課題/領域番号 |
20H01529
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
白肌 邦生 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60550225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | サービスデザイン / 暮らしの価値空間 / ウェルビーイング / 高度技術社会 / 高齢者 / シニア / Transformative service / Technology acceptance / 知識共有 / 知識隠蔽 / 価値共創 / サービス・エコシステム / 技術と社会 / 資源保全 / 資源投資 / コミュニティ / 愛着 / デジタルリテラシー / Transformative Service / サービスエコシステム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はサービス学の視点から,ヒト・モノ・情報・関係性という資源で構成される「暮らしの価値空間」という概念を新規に提案し,シニアの暮らしの価値を高めるような資源の統合・使用を支援するサービスデザインの方法論の構築を目的とする.具体的には,(1)ミクロ視点:シニアの革新を動機づける要素とその習慣化を促す要因の同定,(2)メゾ視点:シニアの活動に対する地域コミュニティからの影響分析,(3)マクロ視点:高齢社会と高度技術社会との共創的発展を目指した社会政策の論点抽出,を行う.そして国際比較も交えながら,これら3視点を踏まえた,暮らしのためのサービスデザイン方法論を構築する.
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研究実績の概要 |
2021年度は,コロナ禍により暮らしの価値空間そのものが大きな構造変化を経験していることを積極的にとらえ,年度前半は,それまでの研究成果を参照しつつ,新しい生活様式の下での高齢者の暮らしの価値空間の状況を分析し,効果的な価値共創の在り方を検討することを目的に研究活動を行った. 具体的には,高齢者が暮らしの価値空間の質を上げる手段の1つとして,ボランティア活動に注目した.高齢者は,自らが培ってきたスキルや知識を社会と共有する過程そのものが,当人のウェルビーイング形成に重要であることが既存研究で指摘されている.この一方,組織における知識共有は,個人の持つ知識への心理的所有感や人間関係性などにより,必ずしも効果的に進むとは言い難いことも指摘されている.こうしたことが高齢者のボランティア活動でどう顕れているかについて,オンラインアンケートを実施し496件の有効データを収集した.結果,活動に対して自己決定できる状態にあるほど,非生産的知識行動(知識隠蔽等)が抑制傾向を示すことがわかった.一方で,ウェルビーイングである状態はそれに直接的には有意に影響していないこともわかった.ここから,幸福実感よりは,幸福に至るための機会(例えば自己決定感)の保有が,知識の共有に重要であること等が示唆された.そして,高齢者の暮らしの価値空間における諸資源(例えば人間関係性という資源など)を増やしそこでの価値共創の質を高めるための,社会的支援アイデアの着想を得た. 年度後半では,スウェーデンでの在外研究の機会を利用し,高齢者の日々の生活の価値を高めるための,技術や制度,サービス価値提案について分析する予定を立てていた.しかし渡航制限で現地に向かえなかった為,論文や公的資料の収集を通じて同国高齢者の生活の価値空間の考え方について整理・考察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究目的については,データ収集・分析・成果の論文化に至り,順調に進んでいる一方,比較対象予定であったスウェーデンや英国での実地調査や詳細な資料収集が叶わなかったため,欧州の事例収集およびその考察については次年度以降も継続して取り組む必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に計画した目標に向けて研究推進する.これに加え,研究期間の終盤に入っているので,全体目標であった「サービスデザイン方法論構築」に向けた視点としてこれまでの研究成果との関連を確認し,考察が不足している部分を認識しながら研究を進める.これとともに,前年度の課題であった欧州の事例収集・整理を,適宜外部のアドバイザーに意見を求めながら進める.
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