研究課題/領域番号 |
20H01557
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 麻理 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50248978)
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研究分担者 |
大森 明 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (00340141)
柴 健次 関西大学, 会計研究科, 教授 (40154231)
山本 清 鎌倉女子大学, 学術研究所, 教授 (60240090)
松尾 貴巳 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80316017)
金子 良太 國學院大學, 経済学部, 教授 (80350411)
目時 壮浩 早稲田大学, 商学学術院(会計研究科), 教授 (90548851)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | リソース・マネジメント / 情報共有データベース / サービス原価計算 / ネットワーク・ガバナンス / 業績マネジメント / 情報共有データベース基盤 / 協働優位 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化に伴う自然災害の激甚化、グローバル化によるパンデミックの脅威、少子高齢化による社会経済問題の複雑化をはじめとして、政府は多くの課題に取り組む必要がありますが、財政の持続可能性も重大な政府の責務です。限られた財源とサービスニーズの増大という困難な課題に取り組むためには、政府・民間・非営利・市民の境界を超えて、最適なサービス提供を行う仕組みを開発する必要があります。本研究は、公共に存在するあらゆる資源を効果的かつ効率的に活用することを可能にする新しい公共経営モデルを研究するものです。
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研究実績の概要 |
本研究は、サービス原価計算、セクター横断的な組織間マネジメント、費用対効果分析、それらを集約して協働を促進するデータベース基盤の開発研究を焦点として、研究を遂行している。COVID-19による緊急事態宣言等の行動制限により、当初計画していた海外研究者との対面によるワークショップや事例研究を行うことは困難となり、文献サーベイを中心としてオンラインによる研究会を定期的に開催することにより、研究を実施している。加えて、この社会経済環境の激変は、本研究において当初想定していなかった外部環境要因、内部環境因の重要性を改めて提起することとなり、理論モデル構築に当たって考慮すべきさまざまな説明変数を識別し、仮説に組込む必要性が生じた。特に、協働を促進するデータベース基盤の開発に当たっては、それらの影響度を検討し、データベース基盤の構成要素を再編成する必要がある。具体的には、新型コロナのワクチン接種を実施するプロセスにおけるさまざまな主体との連携・協働、インプットとしての財源、アウトプットの産出に至るプロセスコスト、財務情報に加えてさらに重要となる非財務情報の識別、評価指標、中間アウトカム、最終アウトカムに至るまでの費用対効果分析等に焦点を当て、サービス原価計算とデータベース基盤の開発研究を行っている。ここで明らかになったのは、わが国における国・都道府県・基礎自治体の垂直的なガバナンスと、地域コミュニティを構成する医療機関等を含めてサービス提供に当たって連携する主体の水平的なガバナンス、さらにリソース・マネジメントにおける都道府県と基礎自治体の関係性とリーダシップであった。これらに加えて、英国における公共価値フレームワークを理論モデルに組込み、さらに個別の自治体の職員に対するヒアリングを通じた事例研究を開始することによって、理論の精緻化と実践における課題の抽出に向けて研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による行動制限等により、海外研究者を招聘した対面によるワークショップ・研究交流が困難となっており、オンラインを通じた意見交換と文献サーベイを中心とする研究会活動に特化せざるを得ない状況となった。本研究は、公共を構成するさまざまなリソースをいかに政府がエンゲージできるか、それを実現するために不可欠な情報共有のデータ基盤の設計及びサービス原価計算の開発を目指しており、これらの研究を促進する重要な研究手法が協働に関する事例研究であったが、コロナ禍における特殊な社会経済状況において、環境による制約は免れず、事例研究による研究の遂行が困難であった。新型コロナウィルス感染拡大の収束が見込めない中で、仮説に影響を与えることとなったさまざまな変数の識別を加えて研究を遂行することにも困難が伴った。特に、国、都道府県の指示の下、実際に施策・事業を遂行し、サービス提供を行う基礎自治体の業務運営は個別にかつ多様に実施されており、その実態を把握し、実務に影響を与える説明変数を識別しなければ、本研究の焦点であるサービス原価計算、セクター横断的な組織間マネジメント、費用対効果分析、それらを集約して協働を促進するデータベース基盤の開発研究に実効性を付与することはできない。2021年度の厳しい状況は、事例研究の実施に制約を課し、研究遂行に少なからぬ打撃を与えた。
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今後の研究の推進方策 |
政府におけるリソース・マネジメント研究には、新型コロナウィルス感染拡大という社会経済環境の激変下において、外部環境及び内部環境の多様な説明変数を識別し、理論モデル構築に組込む必要性と重要性が付加された。具体的には、基礎自治体が、国の指示、都道府県の協力という考え方の下、ワクチン接種をはじめとする感染症対策と社会経済対策の両面にわたるさまざまな施策・事業をどのように実施し、その結果として実施主体である自治体にどのような負荷が生じ、課題が認識されたのか、地方自治体の行財政運営にどのような影響を与えたのか、自治体主導による対策はどのように実施され、効果を挙げたのか、施策の実施に当たっては、住民、医療機関をはじめ公共を構成するさまざまなステークホルダーとの連携・協働をどのように進めたのかを含めて、実態調査を行う必要性と重要性が明らかになった。これらの実態調査と実態調査に基づく事例研究を行い、国、都道府県、基礎自治体の垂直的なガバナンスに加えて、公共を構成するさまざまな主体との水平的な協働、連携が行われたか、またOECDが指摘する社会的連帯が、わが国において、どのように現象として現れたか、政府の公共に存在するリソースをエンゲージする能力、さまざまなデータ・情報を収集し、発信する能力、コミュニティを構成するさまざまな主体との連携・協働の在り方について実態調査を行い、結果を分析する。事例研究を行うことにより、政府におけるリソース・マネジメントの理論モデルを構築し、成功要因を明らかにする。その上で、海外ではどのような政府の取組があり、データの収集、対策が実施されたのかなどについて、海外研究者の招聘によるワークショップ、シンポジウムなどを実施し、各国の知見を組込むことによって理論を精緻化し、応用研究への道筋を固める。
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