研究課題/領域番号 |
20H01678
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川畑 徹朗 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 名誉教授 (50134416)
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研究分担者 |
村山 留美子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20280761)
西岡 伸紀 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90198432)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | いじめ防止 / レジリエンシー / 目撃者 / 介入研究 / 小・中学生 / 学校環境 / 小学校高学年 / 中学生 |
研究開始時の研究の概要 |
いじめは,当事者である被害者や加害者だけではなく,いじめを目撃した子どもたちのメンタルヘルスや行動に対しても悪影響を及ぼす。また,いじめを未然に防止したり,深刻化させたりしないためには,目撃者の果たす役割が大きい。しかし,我が国においては,いじめを見た時に被害者を助ける児童生徒の割合は,学年が進むにつれて減少することが明らかになっている。 そこで本研究においては,いじめが多発する小学校高学年から中学生期の児童生徒を対象として,いじめの被害者や加害者にならないようにすることに加えて,いじめを見た時に被害者を助ける行動を促進することを目指すプログラムを開発し,その有効性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,より深刻ないじめが発生する小学校高学年から中学生期の児童生徒を対象としたいじめ防止プログラムを開発し,その有効性を検証することである。中学生版の開発(2020年7月)に引き続き,小学校高学年版の開発(2022年2月)を終え,2022年度はその有効性を明らかにするための評価研究に着手した。 2022年4月から6月にかけて,広島県福山市と府中市及び京都府綾部市の介入校(プログラム実施校)と比較校(プログラム非実施校)の小学校5年生と中学校1年生を対象とした質問紙調査を実施した。調査内容は,いじめにかかわる行動や態度,いじめ行動にかかわる心理・社会的要因であった。また,介入校の教員を対象として,レジリエンシーの形成を目指すいじめ防止プログラム「ユニット1」の理論的背景及び具体的進め方に関する参加型の研修会(ワークショップ)を開催した。次いで,2022年5月から7月にかけて,介入校の小学校5年生及び中学校1年生を対象として,「ユニット1」を実施した。 2022年7月に,介入校の教員を対象として,いじめの目撃者が被害者を助ける行動を取ることを促進することを目指すいじめ防止プログラム「ユニット2」の理論的背景及び具体的進め方に関するワークショップを開催した。次いで,2022年9月から2023年1月にかけて,介入校の小学校5年生及び中学校1年生を対象として,「ユニット2」を実施した。 2023年2月から3月にかけて,事前調査と同一の児童生徒を対象として,同一の内容と方法で第1回目の事後調査を実施した。 以上の評価研究と並行して,プログラム実施校を増やすために,兵庫県伊丹市,京都府綾部市,愛知県名古屋市,神奈川県横浜市,東京都北区,鹿児島県鹿児島市などで教員対象のワークショップを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介入校の小学校3校(広島県福山市,広島県府中市,京都府綾部市各1校),中学校3校(広島県福山市2校,広島県府中市1校)において,ほぼ予定通りに事前調査,授業,事後調査が実施された。また,授業実践者全員がワークショップに参加し,プログラムの理論や進め方について体験的に学んだことにより,プログラムに熟知し,創意工夫をして授業実践に取り組んだ。そのことにより,児童生徒が学習活動に積極的に参加していることが観察された。 その一方で,2020年に始まった新型コロナウィルスの感染は,2022年度になっても収束せず,学校のさまざまな活動が制限された。このような状況の中で,参加型の協働的学習を中心に展開する本プログラムを教育課程に取り入れようとする学校は増えなかった。2023年からはほぼ通常の教育活動を進めることを文部科学省は推奨しており,本プログラムを導入する学校が増えることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
小学校の介入校においては,同一の児童を対象として6年生用のプログラムを継続して実施する。また,昨年度以上に多くの教師にワークショップに参加してもらい,開発したいじめ防止プログラムに対する関心を高め,プログラム導入校を増やしたいと考えている。また,評価研究の結果を踏まえて,プログラムの改訂作業に取り組む。
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