研究課題/領域番号 |
20H01779
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河原 純一郎 北海道大学, 文学研究院, 教授 (30322241)
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研究分担者 |
田山 淳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10468324)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 注意バイアス / 不安 / 過敏性腸症候群 / 選択的注意 / ネガティブ情動 / 空間的注意 / 状態不安 / 特性不安 / 注意 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,注意研究者と臨床応用研究者が手を組み,基礎研究で挙げられた主要な注意制御要因が,実世界で問題となる不安の注意バイアスの修正効率を上げるかを検証することである。過敏性腸症候群罹患者は学校不適応問題が生じやすいことから,昨今の社会状況に適した効率的なスクリーニング手法を開発する。対象者を選定した後,注意バイアス強度を増大する変数を特定する。注意の競合,履歴効果,および利用・実在性がこの際の最初に操作の対象となることが見込まれる。EEG計測から過敏性腸症候群での注意変調の神経対件を得て,注意バイアス測定の精度とバイアス修正効率を向上させる技術を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では,不安や抑鬱といった情動によって注意の配置が変調される効果を誘発する刺激のタイプ(写真,線画,コミカライズした線画)が,注意シフトを起こす程度を測定した。非臨床群の参加者は不安及び抑うつ質問しに回答し,3タイプの画像からなる注意バイアス測定課題に参加した。画像タイプは参加者間要因として割り当てた。注意バイアススコアと自己報告した抑うつは写真顔画像のみで有意に相関していたが,他の2タイプは弱い創刊誌か示さなかった。研究分担者はeHealthシステムを用いた自己マネジメントプログラムが過敏性腸症候群(IBS)の症状を重篤度を低減し,生活の質を向上させられるかを調べた。等質な2群を設け,一方をeHealth自己マネジメントプログラムシステムに参加する実験群とし,何も介入をしない統制群とした。40名のIBS症状をもち,基準を満たした個人が研究に参加し,無作為にeHealth群と統制群に割り当てられた。eHealth群は8週間,広範なe-learning教材を含むeHealthプログラムに自由にアクセスした。参加者のIBS症状の深刻さ(過敏性腸症候群深刻さ指標: IBS-SI) と生活の質に関する質問紙(過敏性腸症候群-生活の質: IBS-QOL)による測定を8週間のプログラム実施前と後に実施した。その結果,IBS症状の深刻さ (IBS-SI) 指標には有意な群間の差がみられた。さらに,eHealth群のIBS-SIスコアは介入実施前に比べて有意に低下していた。eHealth群と統制群とのあいだにIBS-QOL尺度のスコアの有意な差が見られ,eHealth群のほうが値が高いことがわかった。これらの結果は,eHealthプログラムの実施はIBS症状を低下させ,生活の質を改善することを示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年はCOVID-19感染症による授業規制はほとんどなくなっていたが,参加者の新規開拓が困難であった。学内各所への掲示が依然として禁止されており,反復して参加してくれる参加者が大半を占めたため,新たな実験条件への割り当てが困難であった。2023年度はこうした学内リソースの利用が緩和されることを期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
注意バイアスを測定する心理実験課題(ドットプローブ法)には,刺激を呈示する位置が効果の大きさに影響する可能性がある。われわれの研究室での実験では,縦に2つの画像を呈示した場合は上方の顔への注意バイアスが顕著に認められた。これは顔に限らず,さまざまな画像タイプに対して生じていた。この原因は特定されておらず,新たに取り組むべきテーマとしての展開が大いに期待できる。この上方への注意バイアスの偏向は視野内の他物体との関係にも依存する可能性があり,視覚探索行動での探索を誘導する手法として有効かもしれない。
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