研究課題/領域番号 |
20H01780
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 人間環境大学 (2021-2023) 東北大学 (2020) |
研究代表者 |
高野 裕治 人間環境大学, 総合心理学部, 教授 (00424317)
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研究分担者 |
笠原 好之 東北大学, 医学系研究科, 講師 (20511835)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 意図理解 / 前部帯状回 / ラット / ミラーニューロンシステム / ミラーシステム / マウス / げっ歯類 / 動物モデル / 社会性 / ミラーニューロン / 自閉スペクトラム症 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト行動のモデル動物であるラットとマウスといった齧歯類において、意図理解の神経基盤について、マルチユニット及び局所フィールド電位(または脳波)活動記録により、 その解明に取り組む。研究代表は齧歯類において意図のある行動を学習させ、それを他個体が実行することを 観察させるといった行動実験課題をこれまでに開発してきた。そこで、本研究では開発してきた行動実験を用いて、神経活動を記録することを実施することにより、齧歯類のミラ ーニューロンシステム探索に挑む。
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研究実績の概要 |
本課題では、人行動のモデル動物であるラット・マウスを用いて意図理解の神経基盤を解明することを目的としている。このために、霊長類で発展してきたミラーニューロンを記録するための行動実験をげっ歯類版を用いて、神経活動記録を試みるという全体計画である。昨年度までに、ミラーニューロン課題のマウス版を 研究代表による事前準備であったラット版を参考にして開発研究に主として取り組み、論文公刊することができた。この課題では、ラット同様に、マウスにもリー チングで餌報酬を獲得させることを訓練して、その後に他個体が同じ課題に従事するのを観察させるという課題構築に取り組んだ。この課題において、リーチン グの事前学習がないと、マウスは他個体のリーチングを観察することが少ないことも確認することができた。そして、これらの成果を取りまとめて、マウスによ る意図理解行動場面についての行動実験開発として、Behavioural Brain Res誌に公刊した。加えて、このマウスの意図理解行動は、研究代表らによる新規な行動実験系であるため、その全 データを公開するためのデータ論文についても、Data in Brief誌に公刊することができた。本年度はCovid-19の流行もあり、自由に行動できる期間が非常に少なかった。そこで、行動制限下においても、まとめてデータ収集ができるように、行動実験装置の増設に取り組んだ。また、行動実験期間を短縮する方法がないかについても検討を加えた。神経活動記録部位の選定のためにラットにおいて局所破壊実験を複数部位で検討することができた。この結果において、有力候補の絞り込みができたので、次年度以降に本実験に取り組むための準備を終えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題では、人行動のモデル動物であるラット・マウスを用いて意図理解の神経基盤を解明することを目的としている。このために、霊長類で発展してきたミラーニューロンを記録するための行動実験をげっ歯類版を用いて、神経活動記録を試みるという全体計画である。このため、行動実験の開発、モデル動物の選定、神経活動記録環境の構築、神経活動記録部位の選定のための脳局所破壊実験など、複数の実験パートで構成されている。このため、研究を推進するには、まとまった期間、自由に行動できることが前提になる。Covid-19の大流行により、定期的に行動制限がかかる中での研究遂行には困難があった。 特に、神経活動の記録については、毎日の作業が不可欠であるため、準備を進めるための遅れが生じることを防ぐことができなかった。実験系を分割しないと、行動制限が一定周期で訪れる状況では成果を上げることは非常に困難な年となった。 このため記録部位を特定するための脳局所破壊部位の検討について、Covid-19の流行がやわらいだ期間にまとめて行うこと方法で進めることで対応はした。しかしながら、この状況は他の研究者にとっても同じであるため、スケジュールの調整にも困難が生じ、遅れの原因となった。このように実験の進行には、準備も含めて、非常に困難があったが、行動実験を短期間にできるように、開発した行動実験系のスケジュールの見直し、期間の短縮を実現することで対応するようにした。このため一定の成果は上げることができ、次年度に本実験に取り組むための準備まではできた。
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今後の研究の推進方策 |
本課題では、人行動のモデル動物であるラット・マウスを用いて意図理解の神経基盤を解明することを目的としており、行動実験の開発、モデル動物の選定、 神経活動記録環境の構築、神経活動記録部位の選定のための脳局所破壊実験など、複数の実験パートの準備が必要である。このため、研究を推進するには、まとまった期間、自由に行動できることが前提になるが、Covid-19の大流行により、定期的に行動制限がかかる中での研究遂行には困難があった。このため、Covid- 19による行動制限がかかった状況において、その部分においても、短期間で、研究成果が得られるような変更を実施することで、成果を上げられる準備も進めた。 次年度は、これらの研究成果を発信できるように研究推進していくために次の方策を立てた。Covid-19による行動制限がかからない状況であるならば、いくつかの実験系で本実験に移行する準備もできているので、共同研究先とのスケジュール調整を工夫することで、研究成果を短期間であげていき、遅れを取り戻すようにする。さらに、今後もCovid-19は一定周期で流行を繰り返すことも予測されるので、国内の感染者数の情報を注視することで、対策をとれば安全に動くことができる期間において、まとめて実験を進めることで成果を上げて行きたい。また行動制限がかかった際には、データ解析に取り組むなど、研究進捗のペース配分を調整することで、Covid-19の流行の波からの影響を受けないような工夫をして行きたい。そし て、研究成果をこまめに、発信していくように努め、その後に、それらの成果を集約することで、研究題目の目的を達成するようにして行きたい。
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