研究課題/領域番号 |
20H01829
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京工業大学 (2022) 東北大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
谷口 耕治 東京工業大学, 理学院, 教授 (30400427)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | 有機・無機ハイブリッドペロブスカイト / キラリティ / 空間反転対称性の破れ / バルク光起電力効果 / 円偏光ガルバノ効果 / スピン・軌道相互作用 / スピン軌道相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、優れた光エレクトロニクス材料として関心を集めている、有機・無機ハイブリッド型ペロブスカイト系の鉛化合物において、構成要素の有機分子にキラリティを導入することで、空間反転対称性の破れを制御した新規光半導体を創出する。空間反転対称性の破れを系に導入することで、p-n接合のようなヘテロ界面を用いない、単一物質での光電変換機能の開拓に取り組む。この際、重元素の鉛で構成される無機骨格の強いスピン・軌道相互作用によるバンドのスピン分裂に着目し、これを利用した光‐スピン偏極電流変換まで視野に入れて研究を展開する。
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研究成果の概要 |
本研究では、空間反転対称性の破れた各種の層状の有機・無機ハイブリッドペロブスカイト(OIHP)型鉛ヨウ化物を開発し、バルク光起電力効果(BPVE)ならびに円偏光ガルバノ効果(CPGE)の観測を行った。特に“純粋なキラル”系に対しては、CPGEの観測を行い、物質への円偏光照射時に発生するゼロバイアス光電流が、結晶構造のキラリティに依存することを初めて見出した。また、“キラル”、“キラル&極性”、“極性”という異なるタイプの空間反転対称性の破れた系の作り分けを行い、系統的なBPVEの観測を行った。その結果、OIHP系ではキラリティではなく極性が、BPVEを発現させる重要な因子であることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、キラリティに依存したCPGEの観測に初めて成功した。これは、物質内でのキラルな電子状態の形成を意味しており、層状の有機・無機ハイブリッド化合物で、有機分子層だけでなく隣接した無機層にもキラリティの寄与が及んでいることを示している。第一原理計算を行うと、有機物部分と無機物部分は相互に軌道が混成しておらず、両者の結合は期待できないように思われたが、実験的には両者の強い相関が示された。このことは、今後同様の方法で、キラルな電子状態を設計出来るということを示唆しており、最近、キラルな電子状態がスピン偏極電流生成の場となる可能性が示されていることなどを考えると、学術的に大きな意義がある。
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