研究課題
基盤研究(B)
二酸化炭素は地球温暖化の原因物質であり、過去の気候変動においても重要な因子の一つであった。しかしながら、過去の大気中の二酸化炭素濃度の復元は過去80万年前までしか信頼できる記録が得られておらず、それよりも古い時代についてはよくわかっていない。本研究では、海底堆積物に保存される有孔虫の化石のホウ素の同位体を高精度に分析することを通じて、過去700万年間の大気の二酸化炭素濃度を高解像度かつ連続的に復元する。
本研究では、中新世後期(約700万年前)から現代までの大気中の二酸化炭素濃度の連続した記録の作成のため、古気候学分野で確立された手法である、海底堆積物中の浮遊性有孔虫の殻のホウ素同位体指標を利用した。ホウ素は汚染の影響を受けやすい元素であることが知られているが(ホウケイ酸ガラスをはじめとして身の回りに多く存在するため)、本研究も様々な局面で汚染の影響を被ることになり、多くの分析結果を棄却せざるを得なかった。そうした汚染の影響を免れた分析結果を解釈すると、中新世後期から完新世にかけて気候が次第に寒冷化していく中で、大気中の二酸化炭素濃度もまた長期に次第に低下していたことを示していた。
「地球沸騰化」や「海洋熱波」という言葉が世間に知られるようになるなど、地球温暖化は確実に進行している。大気中の二酸化炭素濃度がなかなか下がらない現状、今後も地球温暖化は進行する見込みとなっている。将来どれほど地球が温暖化し、海水準が上昇するかを予測する上で、過去の温暖期の二酸化炭素濃度、気温、海水準といった気候を高確度で復元することは非常に重要である。本研究では、地球温暖化の過去のアナログの一つである、中期鮮新世温暖期(約330万年前)を含む、過去700万年間の二酸化炭素濃度復元に取り組んだ。分析上の困難さでなかなかうまくいかなかったが、今後も努力を続けたいと考えている。
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