研究課題/領域番号 |
20H01989
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉村 俊平 北海道大学, 理学研究院, 助教 (20706436)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
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キーワード | マグマ / 脱ガス / カワゴ平火山 / 揮発性成分 / 塩素 / 拡散 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,火山の噴火の仕方を支配する最大要因である,火道内でのマグマの脱ガス過程を明らかにすることを目指す.噴火の際,火道を上昇するマグマの中では,揮発性成分の発泡,開放系脱ガス,気泡の溶解,などが複雑に起こっていると考えられている.そして,それらの起こり方の違いが,最終的な噴火の違いを生み出していると考えられている.しかし,上昇するマグマの内部で実際に何が起きているかは明らかになっていない.本研究では火山ガラス中の揮発性成分濃度とその空間分布を解析することで,火道内で何があったかを解読する技術を開発する.
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研究実績の概要 |
本年度は,一度の噴火で爆発的噴火から非爆発的噴火までを起こしたカワゴ平火山を対象に現地調査および噴出物の採取を行い,石基ガラスの揮発性成分の分析に着手した.カワゴ平火山は約3200年前に流紋岩質のマグマを噴出した火山であり,はじめにプリニー式噴火を起こして降下火砕物および火砕流を発生させた後,大規模な溶岩を流出させた.これらの噴出物は現在でも新鮮な状態で残っており,マグマの脱ガス過程と噴火様式の関係を調べるうえで有用である.現地調査では,火砕物については柱状図を作成し,層序ごとに試料を採取した.溶岩については林道沿いに露頭で岩石を採取した.その結果,火砕物には火山灰や軽石にまざって数cmサイズの黒曜石が多く含まれていることが確認された.溶岩流については,ガラス質のものから完晶質のものまで幅広いバリエーションがあることが確認された.溶岩中の結晶の形にも幅があり,溶岩が様々な冷却履歴を持っているものと考えられる.溶岩の発泡度にも0~50%まで幅があった.これらの試料を一通り記載した後,火砕物中の黒曜石およびガラス質の溶岩を対象に,顕微FT-IRを用いてガラス中のH2Oの分析を行った.その結果,溶岩の含水量は最大で0.3 wt%程度であった.一方,火砕物中の黒曜石は全体的に高く,1~2.3wt%のものがほとんどであった.溶岩は脱ガスを高い程度で被ったものと考えられる.含水量の高い火砕物中の黒曜石試料は,火道内でマグマが脱ガスしている途中で凍結されたものと考えられる.今後はこれらの試料を対象に塩素濃度の面分析を行い,脱ガス履歴を解読することを目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
噴出物の採取および分析はおおむね順調に進んでいる.また,塩素の面分析の準備も完了し,すでに予備分析を開始した.
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今後の研究の推進方策 |
噴出物のH2O,CO2濃度分析により噴出物の最終記録圧力を読み取り,塩素マップ分析によりその圧力にいたるまでの脱ガス履歴を解読する.今後は分析対象の試料数を増やし,全体の傾向を掴むところからはじめたい.
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