研究課題/領域番号 |
20H02119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
永岡 健司 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60612520)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 極限ロボット / テザークライミング / ロボットハンド / 極限探査 / ロボット / 凹凸適応ハンド / ハンドアイ / 移動ロボット / テザー移動 / クライミング移動 / 極限探査ロボット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,既存ロボットの未踏領域である凹凸急傾斜地形における革新的な移動方式として,スパイダーマン型の超人的なロボット・ロコモーションを提案し,実証することが目的である.ハンド多指の非同時「しがみ付き」とテザークライミング(複数テザーの長さ制御による空間移動)を相乗的に組み合わせることで,移動可能領域の飛躍的な拡大に挑戦する.さらに,ハンドアイ・システムの地形認識技術を構築し,これら新規技術を機能的に融合した統合ロボットシステムの開発と技術実証をおこなう.
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研究実績の概要 |
2年目の研究としては,4つの研究課題(1)凹凸適応ハンド機構の創成,(2)テザークライミング(Tethered-Climbing)の創成,(3) ハンドアイ・システムの構築,(4) システム統合と制御の実証,についてそれぞれ取り組んだ. (1) 凹凸適応ハンド機構の創成:初年度に開発した凹凸適応ハンド機構の把持実験を通じた性能評価と機構改良をおこなうとともに,力学モデリングとその妥当性評価をおこなった.また,省アクチュエータでの適応性向上のため,柔軟関節を導入し,力学理論とともに有効性を評価した.これにより,凹凸適応ハンド機構の具現化と把持力学理論の構築を実現した. (2) テザークライミングの創成:初年度に開発したテザークライミング機構を備えたロボット・プロトタイプを用いて,テザークライミング移動実験により,搭載アクチュエータおよびハンドに対して想定していた要求仕様よりも高い性能が必要であることが明らかになった.そのため,最終的な統合システムへの拡張に向けて,各機構の改良と評価実験を実施した.加えて,テザー移動の運動学理論を構築し,数値シミュレーションによる解析をおこなうことで,移動力学の体系化を実施した. (3) ハンドアイ・システムの構築:ロボット・ハンドに視覚センシング可能な小型RGB-Dセンサを搭載したハンドアイ・システムを新たに構築した.各ハンドにセンサを搭載し,ハンド近傍の地形を認識し,凹凸地形適応性に基づく「しがみ付き」領域への誘導を実現するシステムを構築した. (4) システム統合と制御の実証:課題(1),(2),(3)の要素技術を統合したロボットシステムの設計として,ロボット・ハンドの機能統合に向けて,課題(1)と(3)をユニット化するための設計を中心に研究開発を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗状況としては,当初計画していた「凹凸適応ハンド機構の創成」のハンド機構の具現化と把持力学理論の構築を実施できた.また,「テザークライミングの創成」については,テザークライミング移動に関する運動学基礎理論の構築および解析をおこない,実機の設計開発までを実施できた.その中で,テザークライミング移動に際して,搭載アクチュエータおよびハンドに対して想定していた要求仕様よりも高い性能が必要であることが分かってきたため,各機構の改良・開発が必要となった.これにより当初計画よりもやや遅れた進捗状況であった.この遅延に並行して,「ハンドアイ・システムの構築」および「システム統合と制御の実証」に向けた統合システムの開発もやや遅れた進捗状況となっている.一方で,本研究課題の最終目標である,テザークライミング移動の実機実証に向けては,必要な要素技術の研究開発は着実に進めることができており,進捗状況はやや遅れてはいるものの,全体計画に対してはおおむね順調に進展している範囲内に留まっているものと判断している.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,2022年度の研究計画を以下に示す. (4) システム統合と制御の実証:課題(1),(2),(3)の要素技術を統合したロボットシステムによる,凹凸地形におけるテザークライミング移動の技術実証をおこなう.課題(1),(2),(3)で構築してきた機構・把持&移動力学理論・センシングを融合し,実機検証することにより,革新的なテザー空間移動技術の実現を目指す.
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