研究課題/領域番号 |
20H02470
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
田口 哲志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (70354264)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 生体接着シート / 組織接着シート |
研究開始時の研究の概要 |
がん手術後の再発を防止するには、がん病巣摘出後に残存した腫瘍を完全に殺傷する必要がある。本研究では、肺がんに着目し、湿潤環境にある肺表面に接着して肺からの空気漏れを防止すると共に、残存腫瘍を完全に殺傷する生体組織接着シートを創出する。ゼラチンにアルキル基を導入した疎水化ゼラチンが湿潤環境で組織接着性を有する点に着目し、抗がん剤を導入したシートからの抗がん剤徐放性・細胞への影響を評価する。さらに、小動物がんモデルを用いたシートのがん殺傷効果をバイオイメージングにより定量的に評価する。
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研究成果の概要 |
肺がんの一つである胸膜悪性中皮腫手術後に適用する材料創出を目指し、疎水化タラゼラチンが湿潤生体組織に対して優れた接着性を有する点に着目し、肺表面に接着して空気漏れを防止するシートを創出し、抗がん機能を付与したシートを調製した。エレクトロスピニング法を用いて疎水化タラゼラチンシートを調製できた。ブタ肺胸膜組織に対するシートの耐圧強度は、未修飾シートと比較して有意に増加した。また、ラット背部皮下において強い炎症反応を生じることなく、21日間以内に分解した。さらに、シートと抗がん剤あるいは酸化鉄ナノ粒子を複合化することにより、抗がん剤徐放性と温熱療法が可能な機能を有することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、肺がんの一つである胸膜悪性中皮腫に着目し、肺がん除去後の胸膜組織に接着すると共に抗がん機能を局所的に発現する機能を有する材料の基礎・基盤的評価を行った。疎水化タラゼラチンを用いて湿潤状態にあるブタ肺胸膜に対して優れた耐圧強度を示すシートの材料調製条件を明らかにできた点は、生体組織接着材料の設計指針の一つを示したと言え、学術的意義は大きい。さらに、化学療法あるいは温熱療法によりがん殺傷機能を有する抗がん剤あるいは酸化鉄ナノ粒子を複合化することに成功したことで、がん手術後の医療用材料として展開する可能性が見いだされた点は社会的意義が大きいと考えている。
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