研究課題/領域番号 |
20H02472
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山中 謙太 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (30727061)
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研究分担者 |
森 真奈美 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (80731512)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | 鉄鋼材料 / マルテンサイト / 炭化物 / 腐食摩耗 / 組織制御 |
研究開始時の研究の概要 |
高速度工具鋼に代表される炭化物強化マルテンサイト鋼は高硬度かつ優れた耐摩耗性を示すが、炭化物の形成に起因した耐食性の低下が課題であった。研究代表者らは、Cuを微量添加した当該鋼において腐食初期に合金元素の選択的溶出(デアロイング)が起こり、表面に形成したCu濃化層により優れた耐食性が得られることを見出した。本研究では、合金組成・加工熱処理条件と組織の関係を定量化し、腐食摩耗環境下において形成する表面Cu濃化層の組成・構造に及ぼす影響を明らかにする。以上より、デアロイングのダイナミクスと形成機構を解明・モデル化し、耐食性・耐摩耗性の改善に関する基礎学理と材料設計指針の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、研究代表者らが独自に開発したCu添加・炭化物強化マルテンサイト鋼を対象として、合金組成および加工熱処理による組織変化と腐食摩耗挙動への影響を明らかにすることを目的とした実験研究を行った。電子顕微鏡観察に加えて中性子回折を用いた組織解析を行うことで、定量的な組織情報を基に硬度、耐食性、腐食摩耗特性を同時に向上させるための組織制御指針を獲得し、製造条件を最適化することができた。また、プロセス-組織-特性の関係やその基盤となるメカニズムを見出し、学術的成果とともに開発鋼の実用化においても重要な成果を上げることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
構造用金属材料におけるトレードオフの克服は基礎・応用の両面で極めて重要である。中でも、腐食摩耗は組織、表面、環境が同時に影響し、解析の困難さや機械と材料の学際的な側面から学術的理解、合金設計指針ともに不十分な状態にある。本研究では独自のコンセプトであるデアロイングによるCuの表面濃化を利用した腐食摩耗特性の改善に取り組んだ。中性子回折をはじめとした高度な実験手法を駆使して定量的な議論を進め、プロセス-組織-特性の関係を明らかにし、複雑な腐食摩耗挙動の理解と学理構築に有用な成果を得ることができた。これにより合金設計や製造条件の最適化が可能となり、実用化に向けて大きく進展することができた。
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