研究課題/領域番号 |
20H02484
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
松野 崇 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (30781687)
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研究分担者 |
松田 知子 地方独立行政法人鳥取県産業技術センター, 無機材料グループ, 主任研究員 (00587644)
北條 智彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50442463)
渡邊 育夢 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主幹研究員 (20535992)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | TRIP鋼 / 微視的解析 / 放射光 / 有限要素法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではTRIP(TRansformation Induced Plasticity)型複合組織鋼の微視的延性破壊挙動を解明する.そのための手段として,微視スケールのFEM(有限要素法解析)を行う.放射光によって実測された引張試験中の局所応力履歴を境界条件とすることが特色である.FEMにより解析された微視的な応力とひずみの分布がマイクロボイドの観察結果に整合する条件として,微視的な破壊条件を同定する.加えて,応力履歴を逆的にたどって損傷部から初期組織を再構築する“逆解析”を試みる.この手法により履歴まで含めた微視的破壊の解明を目指す.
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研究成果の概要 |
本研究ではTRIP鋼と呼ばれる自動車用の高強度鋼材を対象に,その変形と破壊の機構の解明を行った.変形が一旦集中してしまった際に破壊しやすくなることがTRIP鋼の弱点である.新たに開発した数値解析と計測を組み合わせた引張試験方法,および大型加速器SPring-8にて実施した変形中の内部の力と金属組織の非破壊分析により,その原因が変形の集中を受けて内部の硬い微視組織が不安定に発達し,内部に強い引張力を誘起することであることが分かった. さらに微視金属組織の3次元形状を観察し,観察像に基づいたシミュレーションを実施した.その結果,金属組織内の硬質組織周囲に力の集中箇所が存在することが明らかとなった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は今まで不明であったTRIP鋼の変形特性を明らかにできたとの学術的意義,そして新たな自動車用超高強度鋼材とその加工方法の開発シーズを与えるという社会的意義を有する.TRIP鋼は変形集中を抑制するはずであると長らく信じられており,これに対してはっきりとした答えを導けた意義は大きい.シミュレーションを活用することで,材料の開発と材料に合わせた加工方法の双方を一貫して最適化可能なシステムの足掛かりも構築することができた.実現すれば,自動車の安全性向上に加え,部材の薄肉化による軽量化や加工時間の革新的な短縮を図ることができる.カーボンニュートラル社会への土台作りとして貢献できるものと考える.
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