研究課題/領域番号 |
20H02570
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
木田 徹也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70363421)
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研究分担者 |
猪股 雄介 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (40824024)
深港 豪 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (80380583)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 量子ドット / フォトクロミック分子 / 過渡吸収分光法 / エネルギー移動 / 蛍光 / 電子移動 / 半導体ナノ結晶 / ペロブスカイト / フォトルミネッセンス / 消光 / 蛍光体 / フォトクロミック |
研究開始時の研究の概要 |
化学合成量子ドットは高い発光効率と可変性の多色発光という特徴を持つ優れた光材料である。これを基本材料とし、フォトクロミック分子と組み合わせ、光スイッチング材料を開発する。紫外・可視光照射によって誘起されるフォトクロミック分子の光吸収特性の変化を利用して、量子ドットの蛍光をスイッチングする。これら材料のエネルギー準位、粒子-分子間相互作用、エネルギー移動などを多角的に解析するとともに、単一分子蛍光測定法を用いて、単一の量子ドット-フォトクロミック分子複合体における蛍光ON/OFF挙動を制御する技術を確立・実証し、量子ドットの新しい応用を創出する。
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研究実績の概要 |
量子ドット(QD)と呼ばれる半導体ナノ結晶は高い紫外-可視変換効率を有し、そのバンドギャップに応じて多色に発光する。これを基本材料とし、フォトクロミック(PC)分子と組み合わせ、光スイッチング材料を開発する。 本年度は、アミノ基を有するジアリールエテン(DAE)フォトクロミック分子を新たに合成し、CsPbBr3, CsPbI3量子ドットに接合させた。発光のON/OFFスイッチングは可能であったが、徐々に蛍光強度が減少する挙動を示した。このメカニズムをポンプ―プローブ過渡吸収分光法によって調べたところ、エネルギー移動が紫外線照射の数ピコ秒後に生じていることを確認した。さらに、DAEのラジカルと考えられる吸収が現れることを見出した。これは 量子ドットからDAEへの電子移動を示している。エネルギー移動過程については時間分解蛍光分光測定でも確認することができた。ペロブスカイト量子ドットの光誘起電子移動現象を利用して光電極の開発も行った。ポリオキソ酸と組み合わせることで、光照射によって電子が量子ドットからポリオキソ酸に注入され、ポリオキソ酸が還元されることを見出した。可視光で電子注入ができたことから、この系を光エネルギー応用に利用する予定である。さらに、量子ドット類似組成のCs4PbBr6単結晶の合成方法を確立した。この単結晶は耐久性に優れており、DAEと組み合わせることで安定的なON/OFFスイッチができるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
耐久性に優れる量子ドットを合成することができ、発光効率を損なうことなく官能基を取り付けたフォトクロミック分子と複合化できることを明らかにした。基本材料の合成ルートを確立することができたため、今後順調な計画の実行が見込める。
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今後の研究の推進方策 |
今後の基本方針としては、量子ドット表面に効率的かつ確実に有機分子を接続する手法を確立し、得られたハイブリッド材料におけるエネルギー移動およびキャリア移動機構を各種分光法により解析し、本研究が目的とする光スイッチの開発を達成する。
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