研究課題/領域番号 |
20H02709
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前里 光彦 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60324604)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | スピン液体 / モット絶縁体 / 低温電子物性 / デバイス / 電界効果トランジスタ |
研究開始時の研究の概要 |
幾何学的なフラストレーションによって絶対零度まで磁気秩序が抑制された量子スピン液体は、非常に興味深い研究対象である。しかしながらこれまでに発見された有機三角格子スピン液体はその結晶構造に乱れを伴っている。本研究では構造に乱れの無い三角格子をもつ有機スピン液体を開発し、スピンフラストレーションと構造の乱れの効果をはっきりと切り分けてスピン液体の本質を解明する。また、電界効果によるスピン液体へのキャリア注入やスピン流の注入によりスピン液体デバイスを構築し、凝縮相・コヒーレンスの制御とスピントロニクスへの応用を目指す。
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研究成果の概要 |
三角格子上にスピンが局在し、隣接スピン間に反強磁性的相互作用が働く場合、幾何学的なフラストレーション効果によって極低温まで長距離の磁気秩序が抑制された量子スピン液体状態が期待されるが、これまでに発見された有機三角格子スピン液体候補はすべて結晶構造に乱れを伴っており、フラストレーションと乱れの効果が明確でない。本研究では構造に乱れの無い三角格子をもつ有機スピン液体の開発を目指し、有力物質の合成に成功した。各種磁気測定を徹底的に行い、量子スピン液体候補であることを見出した。ただし、陰イオン層に少量のCu(II)イオンが磁性不純物として混入していることも明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幾何学的なフラストレーション効果によって極低温まで長距離の磁気秩序が抑制された量子スピン液体状態は、非自明な量子状態として興味深いだけでなく、量子コンピューターへの応用なども期待され、近年注目を集めている。ところが、実際の物質では構造の乱れの影響が無視できず、フラストレーションと乱れの効果が明確でない。本研究では、陰イオン層の構造の乱れが抑制された新しい有機三角格子系の開発に成功し、乱れの無い量子スピン液体の実現に向けた新たな指針を得ることができた。
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