研究課題/領域番号 |
20H02927
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
園山 慶 北海道大学, 農学研究院, 教授 (90241364)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | microRNA / 腸管免疫 / 腸内細菌叢 / 難消化性オリゴ糖 / リンパ球 |
研究開始時の研究の概要 |
プレ・プロバイオティクスの作用機序は明らかになっていないことが多い。我々は、プレバイオティクス(難消化性オリゴ糖)の摂取による腸内細菌叢の変化にともなって、マウス大腸粘膜固有層リンパ球において一群のmicroRNAが増加することを見出した。このことから、「microRNAによる遺伝子サイレンシングを介したT細胞分化の調節は、腸内細菌叢が腸管免疫のホメオスタシスに寄与する分子基盤である」という仮説を立て、本研究ではこれを証明する。これにより、食物 - 腸内細菌叢 - 宿主生理の関係性を理解し、プレ・プロバイオティクスが健康機能を発揮する際の細胞・分子基盤を解明することに貢献する。
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研究成果の概要 |
本研究では、腸内細菌叢が腸管免疫を調節する際のmicroRNAによる遺伝子サイレンシングの役割を調べた。無菌マウスと通常マウスの比較解析から、腸内細菌叢の存在が大腸の粘膜固有層白血球においてmiR-200ファミリーの発現を増加させる結果、IL-2発現を促進する転写因子であるBCL11BおよびETS-1の発現が抑制され、IL-2産生の減少につながることが示唆された。また、難消化性オリゴ糖である1-ケストースを摂取させたマウスを用いた解析により、1-ケストースが大腸の粘膜固有層白血球におけるmicroRNA発現を変化させ、それらの少なくとも一部を腸内のビフィズス菌が媒介することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、腸内細菌が大腸の粘膜固有層白血球、おそらくはCD4+ T細胞においてmiR-200ファミリーの発現を増加させ、それらの標的遺伝子であるBcl11bおよびEts1のサイレンシングを介してIL-2産生を抑制することが示唆された。また、このことにとりわけビフィズス菌が関与することが1-ケストース摂取マウスの解析結果から推察された。このような、食およびそれが左右する腸内細菌叢によって腸粘膜免疫の恒常性が調節される際に、microRNAによる遺伝子サイレンシングが寄与することを示したのは本研究が最初の例である。
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