研究課題
基盤研究(B)
水分活性は、食品と純水の水蒸気圧の比として厳密に定義された、食品の保存性や品質を評価する熱力学量である。本研究では、水の分子運動性の解析に有効な中性子準弾性散乱、食品のミクロ構造解析に有効な中性子・X線小角散乱を基軸に、熱分析・赤外分光法・分子シミュレーションの融合解析により、食品中の水の物理化学的状態・水和構造を可視化し、食品と水との相互作用を構造科学的に調べる。食品のミクロ構造が水の存在状態に与える影響を解析することで、水分活性を決める食品の水和状態をミクロの視点から解明し、水分活性から保存性や食感といった食品機能物性を予測するための分子論的基礎を確立する。
澱粉の糊化を中性子準弾性散乱測定によって解析を行った結果、DSCの吸熱ピークに対応する澱粉の分子運動性の変化を検出し、分子運動性が糊化により活発になることが示唆された。また老化に伴って澱粉の分子運動性が抑制されることを見出した。赤外分光の減衰全反射サンプリング法を採用した新しい同時測定システムを開発し、食品素材の解析に適用した。その結果、澱粉の老化等に伴う構造変化を中性子小角散乱と赤外分光でとらえることができた。中性子散乱法を基軸とした各種分光測定、熱分析等の実験手法を融合した手法による食品の構造物性相関の解析は、食品のミクロ構造の解析や、食品中の水とミクロ構造の関係性の解析に有効である。
水分活性は食品の保存性や品質を評価する実用的な指標であり、その有効性は広く認められており、食品加工などの現場で既に利活用されている。一方、水分活性は食品の分子構造にも影響を受けるが、ナノスケール動的挙動で特徴付けられる食品構造物性(分子構造とその運動性)が食品の水和状態にどのように影響を与えるかは未解明な点が多い。本研究で解明した食品のミクロ構造と水和状態の関係性などは、食品の物性や品質をミクロな視点から理解するために重要な情報となる。
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