研究課題
基盤研究(B)
翻訳後修飾はタンパク質の活性調節メカニズムの根幹であり、その1つであるヒスチジン(His)残基のメチル化には、τ型とπ型の2つの様式がある。申請者らは独自のメチルアミノ酸分析技術を基盤としたsiRNAスクリーニングにより、πHisメチル化酵素としてMETTL9を同定した。さらにMETTL9自身が、未発見の別のHisメチル化酵素によってπメチル化されることも見出している。本研究では、METTL9とその基質である炎症関連因子S100A9に着目し、生化学・細胞生物学的手法と線虫の分子遺伝学を駆使して、πHisメチル化修飾の生物学的意義を解明する。
タンパク質の機能は多様な翻訳後修飾によって巧妙に制御されているが、ヒスチジン残基のメチル化については不明な点が多かった。本研究では、研究代表者らが新たに発見したヒスチジンメチル化酵素METTL9について、その分子機能の制御メカニズムや生体における役割の解析を進めた。その結果、意外なことにMETTL9自身がアスパラギン結合型の糖鎖修飾を受けること、さらに細胞外に分泌されることを見出した。
本研究成果から、これまで細胞内の現象と考えられてきたタンパク質のメチル化修飾が、血液中などの細胞外においても起こりうることが世界で初めて示された。血液中には多種多様なタンパク質が存在し、血圧や血糖値の調節、免疫応答などの重要な働きをしている。したがって、それらがMETTL9によるヒスチジンメチル化を受けて機能調節されることが明らかになれば、内分泌学や免疫学の分野に新たな学術的視点を提示するとともに、新たな創薬ターゲットになり得ると期待される。
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