研究課題/領域番号 |
20H02989
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
久保 康之 摂南大学, 農学部, 教授 (80183797)
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研究分担者 |
小玉 紗代 摂南大学, 農学部, 助教 (10824039)
西内 巧 金沢大学, 疾患モデル総合研究センター, 准教授 (20334790)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 植物病原糸状菌 / 炭疽病菌 / 形態形成 / 病原性 / シグナル受容 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は植物病原糸状菌の感染戦略における宿主認識と感染器官の形態形成の分子機構に関する研究を行う。とくに植物表層認識から形態形成に至る制御機構を細胞内の“相分離”という学問的新知見とポストゲノム研究における技術的飛躍により解明し、病原糸状菌の感染適応戦略の分子レベルでの理解を飛躍的に進めることを目的とする。オミックス解析の追求と順遺伝学的アプローチ、さらに分子細胞学的解析を組み合わせ、植物病原糸状菌の植物への感染適応戦略の分子モデルを構築し、植物病害防除における基盤的成果を得る。
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研究実績の概要 |
課題1 植物表層環境の認識と侵入器官形成を制御するシグナル受容とネットワーク解析 NDRキナーゼの制御ネットワークの詳細を解明することを目的とし、NDRキナーゼネットワークに関わる制御因子の解明を行う。NDRキナーゼは植物表層シグナルとして長鎖アルデヒドを受容し、付着器分化の制御を行う。本年度は付着器侵入時にペルオキシダーゼと共役するタンデム型のアルコール酸化酵素が付着器侵入時に植物表層にて長鎖脂肪酸を酸化し、生起した長鎖アルデヒドが病原菌侵入時の病原性関連因子発現のシグナルとなることを見出した。具体的には変異株と野生型株の侵入時におけるDNAアレイ解析からエフェクタータンパク質や細胞壁分解酵素類の遺伝子発現がタンデム型酵素活性の制御下にあることを見出し、変異株の病原性の低下がそれらの遺伝子発現の低下に起因していると考察した。
課題2 病原糸状菌の感染器官の形態形成におけるNDRキナーゼネットワークの細胞内相分離の関与 炭疽病菌におけるSsd1タンパク質のストレス顆粒形成と相分離への関与を評価するために、出芽酵母のRNA結合タンパク質Pbp1のウリ類炭疽病菌相同遺伝子CoPBP1に変異を導入し、病原性の評価をしたところ、病原性の微弱な低下が確認された。一方、Pbp1の局在は現在のところ、明確な結果は得られていない。本年度は付着器形成から侵入時におけるssd1変異株のRNAseq解析を行い、発現遺伝子の解析を進めた。現在、変動遺伝子のクラスタリング解析を進めている。一方、付着器のリソソームにおけるステロール輸送機能が細胞周期制御因子の制御下にあり、付着器侵入時における貫穿孔形成に関わっていることを見出し、細胞小器官のネットワーク機能の重要性を示唆する結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1 植物表層環境の認識と侵入器官形成を制御するシグナル受容とネットワーク解析については、付着器侵入におけるシグナル分子の生成機構を明らかにし、生起したシグナル分子が病原性に関わる遺伝子群の発現制御に関わっていることを見出し、論文発表をした。 課題2 病原糸状菌の感染器官の形態形成におけるNDRキナーゼネットワークの細胞内相分離の関与については、細胞内相分離に関与する因子Pbp1の病原性への寄与は微弱で決定的な機能は見出されていない。一方、細胞内小器官の相互作用とシグナル伝達という観点から、核における細胞周期制御とリソソーム機能の密接な関連を示すデータを取得することができた。 以上のことから、一部の計画が想定していたより進捗が遅れているが、全体計画としては、独創性の高い新発見につながる基礎データを得つつあることから、概ね順調と評価した
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今後の研究の推進方策 |
植物細胞表層における植物病原菌のシグナルネットワークについては現時点で植物病原菌の感染初期と侵入時におけるネットワークの統合的モデルを提示することができている。直近の研究成果で注目している点は病原菌の侵入器官における細胞小器官のネットワークの重要性である。本年は野心的な作業仮説を設定し、基盤的なデータの確保をめざす。
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