研究課題/領域番号 |
20H03154
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤田 秋一 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (60282232)
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研究分担者 |
正谷 達謄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (70614072)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 電子顕微鏡 / ナノスケール / 脂質 / 微細局在 / 凍結割断レプリカ法 / オートファジー / イノシトールリン酸 / フリーズフラクチャー / 微細構造 / 生体膜 / 急速凍結 |
研究開始時の研究の概要 |
分子生物学の飛躍的発展とそれに基づくゲノミクス、プロテオミクスの展開により、DNA・RNAと蛋白質についての知見は急速に増加している。生体膜についても膜蛋白質に関する研究は高度化し、多くの知見が集積されている。しかし膜脂質に関しては有力な解析技術が少ないため、まだまだ未知の点が多く残されている。本研究では、申請者らが開発した急速凍結・凍結割断レプリカ標識法をさらに発展・改良することにより、生体膜脂質の分布・動態をナノスケールレベルで明らかにし、新たなライフ・イノベーションの創出を目指す。
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研究実績の概要 |
細胞の自食作用(オートファジー)の内、特徴的な二重膜構造であるオートファゴソームを形成するマクロオートファジーにおいては、種々の遺伝的解析の結果、複数のオートファジー関連蛋白質(Atg)とその働きが解明されており、分子メカニズムの総合的な理解が進んでいる。しかしながらオートファゴソームの形成機序については不明な点がまだまだ多い。研究代表者らは現在までの検討により、酵母細胞においてオートファゴソームの形成にホスファチジルイノシトール4リン酸(PtdIns(4)P)の産生に関与するPI4キナーゼのPik1pが重要な役割を担っていることを解明した。また、PtdIns(4)Pはオートファゴソームの二重膜の内膜および外膜の管腔側のリーフレット(EF)に局在することを明らかにした。本研究ではPtdIns(4)Pの脱リン酸化するSac1pとSjl3pについてオートファゴソームの形成機序における関与を検討した。オートファジー活性を測定したところ、Sac1pとSjl3pの両方の活性を抑制した時のみオートファジーが抑制されていることを見出した。また、急速凍結割断レプリカ法を用いてオートファゴソームの構造を観察したところ、Sac1pとSjl3pの両方の活性を抑制した酵母細胞では、オートファゴソームが観察できなかった。そして、急速凍結割断レプリカ標識(QF-FRL)法によりPtdIns(4)Pを標識したところ、Sac1pあるいはSjl3pのどちらかを抑制した酵母細胞では、オートファゴソームの内膜および外膜ともに細胞質側のリーフレット(PF)にもPtdIns(4)Pが局在することがわかった。以上のことより、オートファゴソームの形成には、Pik1pによるPtdIns(4)Pの産生とSac1pとSjl3pによるPtdIns(4)Pの脱リン酸化の回転が正常に進むことが重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホスファチジルイノシトール4リン酸(PtdIns(4)P)に対するプローブを作成し、新たにPtdIns(4)Pを標識する方法を確立できた。その結果、オートファジーにおけるPtdIns(4)Pの脱リン酸化酵素の役割を検討し、新しいオートファジーの調節機構を解明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ホスファチジルセリンやPtdIns(3,5)P2など、その他のリン脂質に対するプローブを作成することによりオートファジー、アポトーシスなどの細胞機能と脂質代謝異常疾患の関係を解析する予定である。
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