研究課題/領域番号 |
20H03154
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤田 秋一 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (60282232)
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研究分担者 |
正谷 達謄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (70614072)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脂質 / 電子顕微鏡 / 微細局在 / オートファジー / イノシトールリン酸 |
研究実績の概要 |
細胞の自食作用(オートファジー)の内、特徴的な二重膜構造であるオートファゴソームを形成するマクロオートファジーにおいては、種々の遺伝的解析の結果、複数のオートファジー関連蛋白質(Atg)とその働きが解明されており、分子メカニズムの総合的な理解が進んでいる。しかしながらオートファゴソームの形成機序については不明な点がまだまだ多い。研究代表者らは現在までの検討により、酵母細胞においてオートファゴソームの形成にホスファチジルイノシトール4リン酸(PtdIns(4)P)の産生に関与するPI4キナーゼのPik1pが重要な役割を担っていることを解明した。また、PtdIns(4)Pはオートファゴソームの二重膜の内膜および外膜の管腔側のリーフレット(EF)に局在することを明らかにした。本研究ではPtdIns(4)Pの脱リン酸化するSac1pとSjl3pについてオートファゴソームの形成機序における関与を検討した。オートファジー活性を測定したところ、Sac1pとSjl3pの両方の活性を抑制した時のみオートファジーが抑制されていることを見出した。また、急速凍結割断レプリカ法を用いてオートファゴソームの構造を観察したところ、Sac1pとSjl3pの両方の活性を抑制した酵母細胞では、オートファゴソームが観察できなかった。そして、急速凍結割断レプリカ標識(QF-FRL)法によりPtdIns(4)Pを標識したところ、Sac1pあるいはSjl3pのどちらかを抑制した酵母細胞では、オートファゴソームの内膜および外膜ともに細胞質側のリーフレット(PF)にもPtdIns(4)Pが局在することがわかった。以上のことより、オートファゴソームの形成には、Pik1pによるPtdIns(4)Pの産生とSac1pとSjl3pによるPtdIns(4)Pの脱リン酸化の回転が正常に進むことが重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホスファチジルイノシトール4リン酸(PtdIns(4)P)に対するプローブを作成し、新たにPtdIns(4)Pを標識する方法を確立できた。その結果、オートファジーにおけるPtdIns(4)Pの脱リン酸化酵素の役割を検討し、新しいオートファジーの調節機構を解明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ホスファチジルセリンやPtdIns(3,5)P2など、その他のリン脂質に対するプローブを作成することによりオートファジー、アポトーシスなどの細胞機能と脂質代謝異常疾患の関係を解析する予定である。
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