研究課題
基盤研究(B)
植物では、植物ホルモンであるオーキシンが組織中を極性輸送(一定の方向に輸送されること)されることで、体軸が形成されるが、その方向はオーキシン排出担体PINの細胞における偏在化により構築される。従来の研究では、PINの局在制御は小胞輸送系に大きく依存すると考えられてきたが、申請者は、PINの偏在化には、小胞輸送系だけでは十分でなく、「PINの細胞膜中の流動性を制限する機構」が別に必要となることを見出した。本研究では、申請者が発見した本メカニズムの分子レベルでの理解を進めるとともに、本機構の普遍性・多様性について解析を行う。
体軸形成は、生物の形態形成を支える現象である。植物の体軸は、オーキシン排出担体PINの細胞における偏在によって規定される。PINの偏在化機構としては、PINが特定部位へ小胞輸送され続けるモデルが提唱されてきた。一方、私は、PINが細胞膜上で拡散や小胞輸送されない多量体様のクラスターを形成することを見出した。また、クラスター形成因子MAB4を同定した。そこで本研究では、PINとMAB4について詳細な解析を行った。その結果、(1)両者が相互作用すること、(2)クラスター形成がPINの偏在化に重要な役割を果たすこと、(3)PINのクラスター形成は、陸上植物間で保存されていること、などを見いだした。
体軸形成は、生物の形態形成を支える現象のひとつである。植物では、オーキシンの極性輸送により体軸が形成されるが、その輸送方向は、オーキシン排出担体PINの細胞における偏在によって規定されている。そのため、本研究によりPINの局在化機構を解明することは、植物の形態形成を理解する上で重要である。とりわけ、植物の多様な形態がどのように進化してきたかを明らかにすることにも繋がることから、学術上極めて重要である。また、本研究により得られる知見は、オーキシンの流路制御などの方策をもたらしうることから、植物形態のデザイン化などの農業利用の方策の礎となると考えられる。
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