研究課題/領域番号 |
20H03300
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 健雄 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10201469)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | ミツバチ / ハバチ / ハチ目昆虫 / キノコ体 / ケニヨン細胞 / エクダイソン情報伝達系 / 進化動態 / ゲノム編集 / Mblk-1 / ecdysone receptor / ChIP-seq解析 / 単一細胞RNA-seq解析 / 行動進化 / 転写因子 / セイヨウミツバチ / カブラハバチ / mKast / EcR / 社会性昆虫 / 脳機能進化 / 連合学習 / Mblk-1/E93 / ハチ目 / 脳高次中枢 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、これまでミツバチの脳の「分子的解剖」を遂行した結果、① ミツバチの脳高次中枢(キノコ体)を構成する「中間型」ケニヨン細胞サブタイプを新たに発見した。② ハバチ→有錐類→有剣類というハチ目昆虫の行動進化に伴って、キノコ体のケニヨン細胞サブタイプが増加していることを見出し、ハチ目昆虫の行動進化が相関するとの仮説を提出した。③ ミツバチに初めてゲノム編集法を適用し、遺伝子欠失ミツバチを作出した。本研究は、これまでの研究代表者の独自の研究成果に基づき、ハチ目昆虫のケニヨン細胞サブタイプの機能と進化の解析する点で、世界的にも類例を見ない、全く独創的な研究課題である。
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研究成果の概要 |
研究代表者らはこれまでに、ミツバチの脳高次中枢であるキノコ体を構成するケニヨン細胞サブタイプの種類が、祖先型の形質をもち、単独性/植食性のハバチでは1種類、単独性/寄生性の有錐類では2種類、営巣性の有剣類では3種類と、ハチ目昆虫の行動進化に相関して増加したことを報告し、ハチ目昆虫ではケニヨン細胞サブタイプの種類の増加が行動進化の神経基盤となった可能性を示唆した。本研究課題ではハチ目昆虫におけるケニヨン細胞サブタイプの進化動態を初めて解明すると共に、新規なケニヨン細胞サブタイプが生じる分子基盤として、エクダイソン情報伝達系に働く転写因子群が再動員され、固有な標的遺伝子をもつ可能性を提唱した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ハチ目昆虫ではミツバチなどの営巣性/社会性の種類(有剣類)が良く知られているが、単独性(ハバチなど)や寄生性の種類(有錐類)も存在し、多様な行動様式を示す種類を含む分類群である。加えて、ハチ目昆虫は哺乳類に比べ小さく簡単な構造の脳をもつため、行動進化の基盤となった神経機構の進化を調べる上で有用である。ヒトを含む高等動物の脳では高次脳機能は大脳新皮質の各領野に分配されているが、こうした脳機能局在の生理的意義とその進化の分子神経基盤はほとんど不明である。本研究で得られた知見は、ハチ目のみならず動物一般の高次脳機能の進化の理解にも寄与し得る、学術的に重要な研究成果と考えられる。
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