研究課題/領域番号 |
20H03375
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上田 卓見 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (20451859)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | NMR / GPCR / 膜タンパク質 / 動的構造平衡 / Gタンパク質 / アレスチン / システム生物学 / G蛋白質 / アドレナリン受容体 / オピオイド受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
GPCRでは、異なるシグナル強度を示すリガンドの存在(薬効度)や、G蛋白質とアレスチンの一方をより強く活性化するバイアスリガンドの存在(シグナル選択性)が、創薬上重要です。本研究課題では、GPCR であるb2 アドレナリン受容体(b2AR) およびmオピオイド受容体(mOR)が、どのような構造の間を、どの程度の速度および量比で交換しているか、またそれらが薬剤の結合や活性を変化させる変異の導入に伴いどのように変化するかを明らかにして、薬効度やシグナル選択性の制御機構を解明することを目的とします。
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研究成果の概要 |
BMS-986122は、muオピオイド受容体 (mOR)に非競合的に作用すること、および薬効度が最も高い薬物が結合した mORのシグナル伝達活性をさらに上昇させることが報告されている。本研究では、mORのメチオニン残基を観測するNMR解析を、各種リガンドとBMS-986122が存在する条件下で行った。その結果、BMS-986122が、T162があるTM3と、活性と関連する構造平衡が観測されたTM6の相互作用に摂動を与えることで、複数の活性型構造の中でも細胞内側がより開いた完全活性型構造を安定化することで,薬物が結合したmORのシグナル伝達活性をさらに上昇させることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
GPCRを標的とする医薬品は、GPCRの細胞外側に存在するポケットに結合してGPCRを活性化する。しかし、既存薬はGPCRの活性を十分に引き出すことができないことから、このポケット以外の場所に結合して作用するアロステリック薬剤の実用化が期待されている。本研究の成果により、アロステリック薬剤がGPCRに対してその構造平衡状態を変え、既存薬の限界を超えて活性を上昇させることができる可能性が示された。したがって、本研究の成果は、これまで十分な薬効を持つ医薬品が見つかっていないGPCR関連疾病に対し、十分な薬効を示す新しい医薬品開発に貢献することが期待できる。
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