研究課題/領域番号 |
20H03463
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
藤谷 与士夫 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30433783)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 膵β細胞 / PP細胞 / 膵ラ氏島 / シングルセルRNA解析 / 膵島 / β細胞 / 糖尿病 / 細胞系譜追跡 / グルコース応答性 / Ppy |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究で我々は糖尿病発症の鍵を握る膵β細胞に、起源の異なる2系統の細胞集団が存在することを突き止めた。また、この2系統のβ細胞は、遺伝子発現が異なることから、その働きにも違いがあることが強く示唆された。すなわち、より未分化な形質を示すβ細胞系列の方が高血糖などのストレス時に障害されにくい可能性がある。この2つのβ細胞系列の特徴を明らかにして、人為的に制御することにより、糖尿病の発症抑制を行なうことが可能かどうか、多面的に検討してゆきたい。
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研究成果の概要 |
Ppy-Creマウスを用いた細胞系譜追跡実験と単一細胞RNA解析を組み合わせることにより、β細胞は2つの系統、すなわち、Ppyを発現するβ細胞(Ppy系列β細胞)および、発現しない非Ppy系列のβ細胞に二分されることが示された。Ppy系列β細胞は、膵島の周辺部に位置し、グルコース応答性のCa2+応答性が低く、その遺伝子発現プロファイルは、PP細胞のそれに近いこと、INSのみならず、Ppy, Gcg, Somを発現するmultihormonalでβ細胞としては未熟なことが明らかとなった。さらに糖尿病状態におけるβ細胞傷害に対して、非Ppy系列のβ細胞よりも抵抗性を示すことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵ラ氏島に存在するβ細胞はインスリン分泌を担う体内で唯一の細胞腫であり、その機能や数の低下は、現在日本の国民病のひとつとなっている糖尿病の原因となる。今回我々の研究により、他の膵内分泌細胞であるPP細胞が発現するPpy遺伝子をマーカーとして用いることにより、β細胞が大きく2種類に大別されることが明らかとなった。Ppyと関係のあるβ細胞は、関係のないβ細胞に比べて、機能的に未熟であり、血糖に応答してインスリンを分泌する能力は弱いが、傷害に強いβ細胞であることが明らかになった。このようなβ細胞の新しい多様性の発見は、糖尿病の病態の理解や新たな治療につながる可能性がある。
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