研究課題/領域番号 |
20H03467
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
高橋 雅英 藤田医科大学, その他部局等, 教授 (40183446)
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研究分担者 |
榎本 篤 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20432255)
浅井 直也 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80273233)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | がんの線維化 / がん関連線維芽細胞 / Meflin / 膵がん / 肺がん / CAF / Am80 / リシルオキシダーゼ / がんの進展 / ISLR / Gremlin1 / 大腸がん / BMPシグナル / 低分子化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
がん組織の線維化はがんの悪性度および治療効果に大きな影響を与える。本研究では膵がん、肺がんを主に、我々の研究グループが最近発見したメフリン陽性がん線維芽細胞の機能解析を通じて、がんの線維化のメカニズムを解明し、新たながん治療法の開発に資する。具体的には1.がん関連線維芽細胞(CAF)におけるメフリン発現レベルと患者予後との関連を明らかにし、メフリン陽性がん関連線維芽細胞のがん間質における機能の解析を行う。2.メフリン結合タンパクを同定し、機能解析により、がん細胞の増殖、浸潤能などの生物的特性への関与を明らかにする。3.がん治療を目指したメフリンの発現を増強する低分子化合物の探索を行う。
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研究実績の概要 |
膵がんにおいて、がん関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts; CAF)を枯渇させたり、あるいはその増殖を抑制することによる治療の試みは、マウスや患者において成功しなかった。その原因の1つに、CAFには腫瘍抑制的CAFと腫瘍促進的CAF(それぞれrCAFとpCAF)という機能が異なるCAFが存在している可能性が考えらえている。 今回我々は、遺伝的および薬理学的アプローチにより、rCAF特異的マーカーであるグリコシルホスファチジルイノシトールアンカー型細胞表面タンパク質MeflinをCAFに発現誘導すると、マウス膵がんの化学療法感受性が改善することを示した。まず、ケミカルライブラリーのスクリーニングにより、合成非天然型レチノイドであるAm80が、CAFにおけるMeflinの発現を効果的に誘導することができる試薬であることを明らかにした。膵がんモデルマウスへのAm80の投与により、CAFにおけるMeflinの発現が増強するとともに、腫瘍血管面積の増加や腫瘍内薬物送達の増加を見られ、化学療法に対する膵がんの感受性が改善された。メカニズム的には、Meflinはリシルオキシダーゼと相互作用してそのコラーゲン架橋活性を阻害することにより、腫瘍微小環境における組織硬化の抑制に関与していた。これらのデータは、CAFのheterogeneityを調節することが膵がん治療の戦略になることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究により、1)合成非天然型レチノイドであるAm80が、CAFにおけるMeflinの発現を効果的に誘導することができる試薬であること、2)Am80の投与により、腫瘍血管面積の増加や腫瘍内薬物送達の増加を見られ、化学療法に対する膵がんの感受性が改善されたこと、3)CAFにおいて発現が増加したMeflinがリシルオキシダーゼのコラーゲン架橋活性を阻害することにより、組織硬化の抑制に関与していることを明らかにし、ヒト膵がん治療におけるAm80と化学療法の併用による予後の改善の可能性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
マウスを用いたAm80と化学療法の併用療法の成果に基づき、今後、ヒト膵がん患者への応用(phase 1 study)を立案し、臨床研究を進める。
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