研究課題/領域番号 |
20H03547
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51010:基盤脳科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 正晃 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (00716186)
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研究分担者 |
林 勇一郎 関西医科大学, 医学部, 博士研究員 (90378737)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 意欲 / 光遺伝学 / 報酬 |
研究開始時の研究の概要 |
物事が期待通りに行かない期待外れの場合にも、それを乗り越えようと意欲を高めることは将来の成功に繋がる重要な機能であるが、その神経メカニズムは不明である。本研究は、そのような意欲を強く誘導する動物行動モデルを開発し、光を用いた先端的な神経活動計測技術・活動操作技術を導入して、その神経メカニズムを明らかにする。その結果、意欲に関わる脳領域の本質的機能の理解を変え、期待外れを制御する他の脳領域の機能理解の革新、精神疾患の理解や治療に繋げる。
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研究実績の概要 |
ヒトは、現状より高い目標を設定し、期待通りに行かない期待外れの場合にも、その目標を諦めるよりは、むしろ逆に乗り越えようとすることで、将来の成功に繋げる。この意欲が不足すると社会的に適応できない。しかし、期待外れを乗り越える意欲を担う神経機構は解明されていない。本研究は、光による、先端的な神経活動計測法や神経活動の操作法を開発・導入することによって、その神経機構を解明する。具体的には本研究は、報酬系の主な要素で従来は期待外れに対して行動を弱化する過程に重要とされてきた中脳ドパミン細胞が、期待外れを能動的に乗り越える意欲を担うことを、ラットを用いて明らかにする。 本研究の具体的目標は、第一に、新規ドーパミン細胞活動の性質の意義を明らかにすることである。そのために、初年度に確立した、小型の埋め込み型蛍光顕微鏡を用いた中脳ドパミン細胞からの1細胞レベルのカルシウムイメージング技術を用いて、不確実な報酬を求める行動課題を遂行中ラットの神経活動計測を進めた。期待外れが生じる瞬間に細胞内カルシウム量が増加する新規ドーパミン細胞の存在を確認し、そのデータ解析を進めた。また、中脳内のどの場所に新規ドパミン細胞が多いのか詳細に調べた。また、報酬消去課題やパブロフ型課題などの行動課題を確立し、状況特異的にその活動がどう変化するのかについて検討した。さらに、1細胞レベルで多数のドパミン細胞の活動を同時に計測するために、複数平面のカルシウムイメージング法のための機器セットアップを終えた。 第二の目標は、新規ドパミン細胞の活動が行動に果たす神経回路メカニズムを解明することである。その目標に向けて、新規ドパミン細胞の活動増加が期待外れを乗り越える行動に果たす役割を解明するための課題において、ドパミン神経回路特異的に光遺伝学法を導入し、その因果的役割を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標は、第一に、我々が独自に見出している新規ドパミン細胞活動の性質の意義を、明らかにすることである。その目標達成に向けて、期待外れを乗り越える意欲を強く誘導するラットの行動モデルと神経活動イメージング法と融合し、データ取得も順調に進んでいる。また、新しいイメージング法の開発を着実に進めた。 第二の目標は、新規ドパミン細胞の活動増加が、期待外れを乗り越える行動に果たす神経回路メカニズムを解明することである。その目標に向けて、行動課題を複数開発し、さらに複数のドパミン神経回路特異的に光遺伝学法を導入し、その因果的役割の検討を開始し、回路によって、機能が異なる可能性を見出した。 以上、おおむね研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
第一の目標達成にむけて、小型の埋め込み型蛍光顕微鏡を用いた、中脳ドパミン細胞からの、1細胞レベルのカルシウムイメージング技術などを用いたデータ取得と解析を完成させる。報酬に関する状況を様々に変化させて、その状況の変化に対して活動がどう変化するのかについて解析することで、その意義を解明する。また、1細胞レベルで多数のドパミン細胞の活動を同時に計測するための複数平面のカルシウムイメージング法の応用を開始する。また、第二の目標達成にむけて、神経回路特異的な光遺伝学法の実験結果の解析を行う。
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