研究課題/領域番号 |
20H03571
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
飯島 浩一 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター 神経遺伝学研究部, 部長 (50632535)
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研究分担者 |
関谷 倫子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター, 副部長 (40367412)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 認知症 / アミロイドβ / グリア細胞 / 神経炎症 / マウス / ショウジョウバエ / アストロサイト |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)は,脳内でのアミロイドβ (Aβ)病理の重篤化が引き金となり,数十年をかけて発症に至る。最近の研究から,AD発症の過程でグリア細胞の性質が大きく変化し,脳内の恒常性が破綻することで,認知機能低下や神経細胞死が引き起こされる可能性が示されている。しかしその詳細な機序は不明である。申請者はこれまでに,AD患者脳から得たビッグデータを解析し,AD発症の過程で変化するグリア細胞の働きを,遺伝子レベルで捉えた。本研究では,アストロサイトと呼ばれるグリア細胞に着目し,その活性制御機構や,ADの病理形成において果たす役割を明らかにすることで,新たな治療薬標的の同定を目指す。
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研究成果の概要 |
老年性認知症の最大の原因であるアルツハイマー病は、脳内でのアミロイドβの蓄積が、数十年に渡り脳にストレスを与え続け、ついには神経細胞が失われて発症に至ると考えられている。この過程に、神経炎症と呼ばれるグリア細胞の活性化や脳血管の破綻が関与すると考えられている。本研究では、アルツハイマー病患者の脳でみられる病変を遺伝子ネットワークの変化として読み取り、モデル動物を用いて検証することで、アミロイドβがグリア細胞の一つであるアストロサイトを慢性的に活性化した結果、神経血管ユニットと呼ばれる脳血管の構成を破綻させるメカニズムを明らかにした。本研究の成果は、新たな治療薬の開発につながると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アルツハイマー病は老年性認知症の最大の原因であるが、発症にいたるメカニズムは明らかではなく、有効な予防、治療法も確立されていない。一方で、最近の技術革新により、アルツハイマー病を発症する前に罹病のリスクを診断できる可能性が高まっている。このような状況の下、アルツハイマー病に対する先制治療法の開発は社会的要請の極めて高い課題になっている。本研究では、アルツハイマー病の発症に深く関わると考えられているアミロイドβが、脳の中で神経炎症や脳血管系の破綻を引き起こすメカニズムの一端を初めて明らかにした。本研究の成果は、アルツハイマー病の発症を遅延させるための、新たな治療薬の開発につながると考えられる。
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