研究課題/領域番号 |
20H03607
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山縣 文 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (30439476)
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研究分担者 |
小竹 元基 東京工業大学, 工学院, 教授 (10345085)
平野 仁一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60574910)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 高齢者の運転研究 / 不安全運転 / 実車運転 / 脳画像 / 機械学習 / AI解析 / 高齢者 / 自動車運転 / 認知機能 / 高齢運転者 / 不安運転 / 神経心理 / 予測モデル / 運転技能評価 / 脳画像研究 / 医工連携 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢運転者を対象とした運転免許証更新時の検査は、認知症のスクリーニング検査として有用であるが、健常者やMCIの不安全運転のリスクについて評価できない。さらに注意欠如多動性障害(ADHD)においても不注意による運転事故の報告がある。そこで、本研究は以下を検証する。①ドライブレコーダを搭載した実車を用いて運転行動データを集積し、不安全運転の定量評価を新たな運転技能指標を確立する。②人工知能技術を用いて、神経心理検査や脳画像データから、不安全運転リスクの予測モデルを確立する。健常者やMCI、ADHDにおいて、どのような認知機能や脳内ネットワークの障害が不安全運転のリスクと関連しているか明らかにする。
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研究成果の概要 |
AI技術を用いて一時停止交差点での不安全運転行動を予測するモデルを作成した。その結果、Rey Auditory Verbal Learning Testの初回の即時再生の点数と不安全運転リスクが強く関連することが示された(業績1)。次に、MRIを用いて背外側前頭前野-頭頂葉領域の灰白質体積変化と健常高齢者の不安全運転リスクとの関連を明らかにした(業績2)。さらに拡散強調画像を用いて上縦束の白質構造が不安全運転群で障害されていることを示した(業績3)。以上より、我々は背側注意ネットワーク異常に基づく注意機能障害が健常高齢者の不安全運転に関与している可能性をAI技術を用いて世界で初めて報告した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本邦において75歳以上の高齢運転者を対象とした運転免許証更新時の認知機能検査は、認知症のスクリーニング検査として有用であるが、健常高齢者や軽度認知機能障害の不安全運転のリスクを評価することができない。本研究の最大の社会的意義として、現在の道路交通法では見逃されている健常高齢運転者の交通事故防止への新たな支援法へ大きく寄与する不安全運転の予測モデルを確立したことである。さらに、その神経生物学的バックグラウンドとして、MRIを用いて背側注意ネットワーク異常に基づく注意機能障害が健常高齢者の不安全運転に関与している可能性を世界で初めて報告した。この学術的意義も非常に高いと考える。
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