研究課題/領域番号 |
20H03691
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 熊本保健科学大学 (2021-2023) 熊本大学 (2020) |
研究代表者 |
伊藤 隆明 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70168392)
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研究分担者 |
佐藤 陽之輔 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (00823311)
永原 則之 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10208043)
藤野 孝介 熊本大学, 病院, 講師 (10837339)
長谷川 功紀 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (50525798)
山口 知也 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (70452191)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 小細胞肺癌 / Ascl1 / Ror2 / 小細胞肺癌マウスモデル / PDXモデル / ASCL1 / ROR2 / AuRKA/B / マウスモデル / single cell RNAseq / YAP1 / WNT5a / 次世代シークエンサー解析 / フローサイトメーター解析 / Pdxモデル / SOX2 / WNT11 / フローサイトメーター / シグナル分子 |
研究開始時の研究の概要 |
私達は、小細胞肺癌(SCLC)における細胞系譜転写因子ASCL1に制御される細胞膜受容体として、ROR2を見いだした。ASCL1にかかわるシグナル分子ROR2の解析は、SCLCの様々な生物学的調節機構の基盤的研究であり、新たなSCLC 治療標的分子の開発に繋がると考えられる。本研究では、SCLCにおけるROR2の発現様式、ASCL1, SOX2による制御、機能解析、結合分子、細胞内リン酸化蛋白質などを明らかにする。また、培養細胞、患者由来SCLC皮下移植系、マウスSCLCモデルなどを用いて、ROR2のSCLCにおける機能解析をするとともに、治療標的としての有用性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
小細胞肺癌(SCLC)の細胞系譜転写因子であるAscl1の標的分子として、Receptor tyrosine kinase like-orphan receptor 2(ROR2)に注目して研究をまとめた。ROR2の発現は、ASCL1に依存する一方で、ASCL1に非依存性に発現し、また、組織内にあっては、不均一な発現様式を示した。ROR2高発現細胞と低発現細胞を、ヒト培養細胞株および患者組織の免疫不全マウスへの移植腫瘍(Pdx)から分取し、比較実験を行った。ROR2高発現細胞では増殖能が高く、また、RNAseq解析から、Aurorakinase A/BがROR2の下流分子として増殖に関わっていることが考えられた。ROR2のリガンドとしては、当初予想したASCL1の関連分子であるWNT11ではなく、WNT5aが候補として考えられたが、その意義は2023年度の課題と考えている。 マウスモデルで、Notchシグナル不活性化時のclub細胞から神経内分泌細胞への分化転換過程をsingle cell RNAseq解析をした結果から、神経内分泌分化に関わる分子として、Ascl1やINSM1以外に、転写因子Nfatc2、Zfb661などが関与が見いだされた、ASCL1との関連について検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ASCL1の関連分子の一つであるROR2の発現、調節機構、生物学的な意義などを明らかにすることができた。ROR2関連下流シグナル分子を見出せたので、今後のROR2に注目した研究へと発展できると考えている。ROR2関連のリガンド候補分子は見出しているが、その分子を標的とした実験系を構築できずにいる点が、研究予定より遅れている。一方で、マウスモデルから、小細胞肺癌分化機構に関わる転写因子を見出せた点は、今後のASCL1関連分子の研究へと発展できる成果と考えている。以上より、遅れている面もあるが、本科研費のテーマ内で、新たに発展できる事項も明らかとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
ROR2の標的分子としてAUROKA/Bを見出したので、AUROKを標的とした実験系を構築する。また、ROR2のリガンド分子としてWNT5aを注目して、この分子の阻害を目指したoligo-peptideの作成とその腫瘍増殖への効果を実験系を検討する。ASCL1と関連して、マウスモデルより、新たな神経内分泌分化に関わる転写因子群を見出したので、これらの分子の生物学的な意義を検討する。以上を含めて、本研究のまとめとして、ASCL1を中心とした総説を作成したい。
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