研究課題/領域番号 |
20H03775
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
馬場 洋 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00262436)
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研究分担者 |
倉部 美起 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30635579)
渡部 達範 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任講師 (30748330)
大西 毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60804573)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 脊髄 / グリア / トロンボスポンディン / Ca2+ イメージング / 後根刺激 / Ca イメージング / パッチクランプ / イメージング / 脊髄スライス / in vitro イメージング / 脊髄後角 |
研究開始時の研究の概要 |
末梢神経損傷による神経障害性疼痛は時として傷害された神経の支配領域を超えて頭尾方向に広がり、脊髄レベルでの異常興奮が頭尾方向に広がっているとしか考えられないことがある。その現象の仮説として、我々は神経障害によって脊髄内のアストロサイトからトロンボスポンディンというタンパク質が放出され、それが脊髄内を頭尾方向に広がっていくことによって異常なシナプス新生が起き、異分節に疼痛領域が広がるのではないかと考えた。しかし、これまで神経損傷やトロンボスポンディンの脊髄内投与により、脊髄内興奮領域が頭尾方向に広がることを証明した報告はないため、脊髄内イメージング法や電気生理学的方法によって証明しようと考えた。
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研究成果の概要 |
末梢神経が障害を受けたとき脊髄内でグリア細胞の一種であるアストロサイトからトロンボスポンディンが放出される。このトロンボスポンディンを脊髄腔内に注入し、ラット後肢足底および大腿部への機械的刺激に対する逃避行動を調べたところ、逃避閾値が経時的に低下し、範囲も広がっていくことがわかった。このラットから脊髄を摘出し、Ca2+イメージング法によって1本の後根から入力した感覚入力による脊髄後角細胞の興奮の強さ及び頭尾方向への空間的広がりを調べたところ、正常動物に比べて神経興奮の範囲が大きく拡大していることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
末梢神経が損傷されることによって生じる痛みは損傷神経の支配部位を超えて広がることが明らかとなった。その機序には脊髄後角での神経興奮が頭尾方向に広がりやすくなっているという可塑性変化に基づくものである。その可塑性変化には脊髄内のアストロサイトから分泌されるトロンボスポンディンが関与している可能性が高い。末梢神経損傷による神経障害性疼痛では時間経過により痛みが強まるとともに、疼痛領域は損傷された神経の支配領域にとどまらず隣接する神経支配領域に広がり、異分節の脊髄領域に入力する非侵害性感覚情報によって痛みが生じてしまうことがあるが、それを医学的に証明したことに社会的意義があると思われる。
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