研究課題/領域番号 |
20H03859
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
米田 俊之 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (80142313)
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研究分担者 |
奥井 達雄 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (40610928)
波多 賢二 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (80444496)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 骨転移 / 乳酸シャトル / GPR81 / がん / 乳酸 |
研究開始時の研究の概要 |
低酸素状態に陥り易いがんは増殖、代謝の維持のためWarburg効果により解糖系を好気的環境下で利用し、産生した乳酸とプロトンを乳酸/H+共輸送体MCT4により細胞外に放出する。細胞外の乳酸はMCT1を通じて周囲の細胞内に取り込まれ再利用される。この乳酸の出し入れは乳酸シャトルと呼ばれ、がんに特有に見られる。本研究では、乳酸シャトルが骨微小環境を変化させがんの骨転移進展を制御するとの仮説に基づき、乳酸シャトルが、がんの骨転移、骨からの二次転移、骨痛誘発に寄与することを明らかにし、骨転移病態のメカニズム解明に新たな情報、視点を提供する。
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研究成果の概要 |
がん細胞はWarburg効果により大量に乳酸を産生・分泌し、分泌された乳酸は隣在するがん細胞や正常細胞に取り込まれ再利用される。この傍分泌的ながん周囲細胞内外への乳酸の移動は“乳酸シャトル”と呼ばれるがん特有の現象であるが、がんの骨転移における役割は不明である。本研究では、乳酸分泌を制御するモノカルボン酸トランスポーター4 (MCT4)およびGタンパク質共役型乳酸受容体GPR81が、乳がん細胞の乳酸シャトル形成を介して骨転移ならびにがん性疼痛を制御することを見出した。本研究は、骨転移の新たな制御機構を明らかにするとともに、乳酸シャトルの制御による革新的な骨転移治療の開発に貢献すると期待できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、がん遺伝子/がん抑制遺伝子とは異なる視点からのアプローチとして、がんの増大、浸潤、転移における細胞内エネルギー代謝系およびその代謝産物の役割に関する研究が進められている。その中でも、がんに対する乳酸代謝の影響、あるいはがん治療ターゲットとしての乳酸代謝が改めて注目されている。本研究はがん患者の管理を困難にし、生命予後を大きく左右する骨転移における乳酸シャトルの役割を解明した点で学術的意義は高い。さらに、乳酸シャトルは、がんの種類にかかわらず全てのがんに共通の現象であり、本研究の成果はがん治療に広範に応用できると期待される。
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