研究課題/領域番号 |
20H03865
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 隆男 九州大学, 大学病院, 講師 (80507781)
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研究分担者 |
武富 孝治 久留米大学, 医学部, 准教授 (10553290)
新城 尊徳 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20711394)
讃井 彰一 九州大学, 大学病院, 講師 (70507780)
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 歯肉幹細胞 / エクソソーム / miRNA / 歯周炎 |
研究開始時の研究の概要 |
幹細胞による疾病治療効果には、幹細胞から分泌されるエクソソームと呼ばれる細胞分泌小胞が中心的役割を果たしており、エクソソームに内包されるmiRNAが損傷組織の遺伝子発現を制御することで治癒を促進することが明らかにされつつある。申請者らは歯肉幹細胞が分泌するエクソソームの有する著明な抗炎症・創傷治癒促進効果を発見したが、その詳細な分子基盤は不明である。 本研究は、歯肉幹細胞由来エクソソームmiRNAを新たな核酸創薬ターゲットとした新規歯周治療の分子基盤を確立することで、最小限の幹細胞から歯周病の炎症の収束・組織リモデリング・再生シグナルを効果的に誘導する革新的歯周治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
申請者らは歯肉幹細胞(GMSCs)が分泌するエクソソームの有する著明な抗炎症・創傷治癒促進効果に着目し、歯肉幹細胞由来エクソソームmiRNAを新たな核酸創薬ターゲットとした新規歯周治療の分子基盤を確立することを目的として研究を進めてきた。 一般的に、歯周炎による歯槽骨破壊には炎症性(M1)マクロファージが関与する一方で、歯周組織再生の成功には、炎症の終息と組織再生を担う修復型(M2)マクロファージの誘導が不可欠である。申請者はGMSCsを炎症性サイトカインであるTNF-α刺激することでnegative feedback機構が働き、GMSCs由来エクソソームによるM2マクロファージ誘導能が促進することを確認し、マウス創傷治癒モデルおいても著明な治癒促進効果を認めた。その分子機構について解析を行った結果、TNF-α刺激後のエクソソームで高発現した抗炎症分子CD73がM2マクロファージ誘導に重要であることを発見し、歯周炎への治療効果についてマウス歯周炎モデルで検証を行った結果、TNF-α刺激GMSCs由来エクソソームによる著名な歯槽骨吸収抑制効果を確認した。 GMSCsへのTNF-α刺激前後でのエクソソームmiRNAアレイ解析により、TNF-α刺激により誘導されたエクソソーム内miR-1260bが、破骨細胞活性化因子RANKLの発現を阻害をすることで骨吸収抑制効果の中心的役割を果たしていることが確認された。 更にGMSCsをTNF-α/IFN-αで共刺激した結果、優位なM2マクロファアージ誘導増強効果を確認した。一方、miR-1260bによる歯槽骨吸収の分子機構について検証を行った結果、miR-1260bは小胞体(ER)ストレス応答の制御を介して、破骨細胞分化の阻害し、歯槽骨吸収を抑制することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯肉幹細胞をTNF-α/IFN-αで共刺激することでM2マクロファアージ誘導増強効果を確認し、さらにTNF-α誘導性エクソソームmiR-1260bのERストレス応答を介した骨吸収抑制機構について解明し、論文発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
申請者らは、GMSCsをTNFによる炎症性サイトカイン刺激することでnegative feedback機構が働き修復型(M2)マクロファージ誘導能が促進することを確認しているが、IFN/TNF共刺激により更に増強効果が認められることを確認し論文発表した。さらに、エクソソーム内包miR-1260bがERストレス関連蛋白の抑制を介して骨吸収を抑制することを新たに論文発表した。以上の昨年度の研究成果をもとに、今年度は以下の解析を予定している。 歯肉幹細胞由来エクソソームmiRNAによるエピジェネティックな抗炎症機構の検証 マイクロアレイでリストアップされた主な変動上位miRNAをデータベースと照会し、クロマチンリモデリング関連蛋白を標的とするmiRNAの候補を検索する。これらmiRNAの炎症性サイトカインの遺伝子発現制御への関与について、以下の検証を行うことで詳細な抗炎症機構の解明が可能となる。 1. 候補miRNAをmiR-TALE-nucleaseシステムでノックアウトしたマクロファージを作成し、miRNAノックアウト前後のクロマチン免疫沈降シーケンス解析(ChiP-Seq)を行う。 2. ChiP-Seqの結果をGO(Gene Ontology)解析と併せて炎症性サイトカインプロモーター領域のヒストンメチル化を確認し、マクロファージにおける炎症性サイトカインの発現抑制効果を検討する。
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