研究課題/領域番号 |
20H03908
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
稲井 邦博 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (30313745)
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研究分担者 |
小林 英津子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20345268)
法木 左近 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (30228374)
清水 昭伸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80262880)
木戸 尚治 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (90314814)
平野 靖 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (90324459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 病理解剖用ロボット / オートプシー・イメージング / 医工連携 / 人工知能 / 医療事故調査 / 解剖用ロボット / 医療事故調査襲 |
研究開始時の研究の概要 |
医療事故調査はカルテレビューと根本原因分析法で構成されるが、医療関連死の場合には医学的解析も必須である。しかし、解析の根幹をなす病理解剖は病理医不足や遺族感情から実施困難な状況にある。そこで、本研究は医工連携で遺体損傷を最小化できるロボット活用「低侵襲解剖」に、解剖情報を補完する人工知能(AI)支援「死亡時画像診断(Ai-CT)」と「検体検査」を併用した医療関連死の原因究明法を確立する。 具体的には診断精度の観点から「低侵襲解剖」に必要最低の標本を摘出可能な解剖用ロボットを開発する。次に低侵襲解剖を補完・診断支援を担うAIを開発する。さらに教育システムを構築し医育面からも解析能向上を目指す。
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研究実績の概要 |
①低侵襲解剖用ロボット開発:約2cm径の組織を安定的に切離するロボットの基幹部となる切削ヘッド部を完成し、体内観察内視鏡及び体液吸引計測機との接続機構の開発に取り組んでいる。 ②全身解剖、低侵襲解剖、最小侵襲解剖の診断精度の比較検証:当該研究に必要となる約30例の標本採取を終了し解析中である。これまでに、極小標本での解剖診断精度に問題がある可能性を見いだしている。 ③Ai-CT画像からの臓器重量推定法の確立:AIを活用した肝臓および腎臓領域の抽出を行い、経時的な肝体積変化から肝萎縮原因疾患鑑別に向けた一次パラメータ抽出を行い、その成果を医療薬学会で報告した。 ④立体肺内部構造観察用教育ツールの開発:立体固定肺の表面形状、CT画像、マイクロCT画像セット画像データセットの収集を継続し20体余の蓄積に成功し、データの公開に向けた検討を開始している。 ⑤CT画像の超解像度化・精細化技術の確立:立体固定肺のCT画像とマイクロCT画像を用いた超解像AI研究に関し、AIが作成するfake画像の除去(CARS2022発表)に引き続き、拡散モデルを用いた気管支、血管、肺胞などの陰影のエッジ付近の精度改善に着手しており、JAMIT 2023で発表予定である。 ⑥死因経過推定モデル、解剖時敗血症予測モデルの構築:類似症例からの死因経過推定および解剖時血液培養結果から敗血症予測モデルの構築を試みた。前者の研究成果は医療の質・安全学会誌に掲載され、後者はSci Rep誌にreviseとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う医療従事者・研究者の安全性確保から、研究分担者の着任や当該機関の病理解剖件数が一時的に著しく低下していたが、2022年度に解析に必要な基礎データの取得にほぼ目処が立ち、またロボット開発で最も重要な臓器切削機構も完成に至った。また、AIを用いる新規解析手法の開発も、CT画像の高精細化を筆頭に、臓器重量推定、敗血症推定、死因過程の予測においても徐々に成果が集積されており、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
①全身解剖、低侵襲解剖、最小侵襲解剖の診断精度の比較検証:2022年度までに集積したデータを活用して、上記3条件下での死因推定能力を明らかにするとともに、Ai画像データを加えた場合の死因究明能力の向上についても検証して、死因解析に必要最低限となる臓器摘出量を明らかにする。 ②臓器反力・破壊力計測とそれに基づく低侵襲病理解剖用ロボットの開発:ロボットアームの切削精度向上を進めるとともに、体内観察内視鏡及び体液吸引計測機との接続機構を開発し、実用化に繋げることの出来るプロトタイプの完成を目指す。 ③Ai-CT画像からの臓器重量推定法の確立:これまでに取得した経時的な肝体積変化から肝萎縮原因疾患鑑別に向けた一次パラメータの精度向上を目標に掲げ、症例を追加して検証を進めていく。 ④立体肺内部構造観察用教育ツールの開発:これまでに収集した立体固定肺の表面形状、CT画像、マイクロCT画像セット画像データセットの公開を目指し、蓄積データの整理、解析、論文化に並行して、データの匿名化などの作業を進展させる。 ⑤CT画像の超解像度化・精細化技術の確立:肺CT画像を対象とした超解像化AI研究を促進するために、立体固定肺標本の集積、画質の向上、及び臨床CT画像からの高精細化の実践に取り組む。 ⑥死因経過推定モデル、解剖時敗血症予測モデルの構築:死因経過推定モデル適応範囲の拡大と、敗血症予測モデルを用いたprospectiveな検討を行っていく。
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