研究課題/領域番号 |
20H04069
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 和俊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30302813)
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研究分担者 |
宮田 紘平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30792171)
三浦 哲都 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (80723668)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | 運動スキル / コーディネーション / 運動制御・学習 / リズム / 対人間協調 / 呼吸 / 意思決定 / 認知バイアス / 学習 / 姿勢・呼吸 / 協調 |
研究開始時の研究の概要 |
運動学習において、仮に同一の練習方法を用い、同じ回数の練習を行ったとしても、その学習効果には認知バイアス、空間認知/注意、協調、情動等に関わる多くの要因により個人差が生じうる。そこで本研究では、熟達差にかかわる横断的・縦断的研究により運動学習の媒介変数間の関係を明らかにするとともに、これら媒介変数と学習の因果性を検証したうえで個人差要因を考慮した練習環境を構築する方法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、運動スキル遂行時における個人差要因の1つとなりうる呼吸に関して、呼吸速度の変化に伴う胸部と腹部の協調パターンについて検討を進めた。その結果、遅い呼吸では胸部ー腹部の動きが同位相で同期するのに対して、速い呼吸では相対位相が多方向にドリフトし個人差が増大していくことが明らかになった。本研究は、これまで体肢の協調において認められていた速度増大に伴う協調パターンの収束が呼吸において認められないことを明らかにしており、多様な呼吸運動パターンを定量的に計測・解析するための基礎研究として位置づけられる。 また、陸上の長距離走における無意図的な対人間協調に影響する感覚モダリティーについて検討した。先行研究においては、並走する2人のランナー間で相互作用が生じる可能性が示唆されていたものの、原因となる感覚モダリティーについては不明であったことから、本研究では視覚的相互作用を遮断したトレッドミル走における聴覚情報の影響について検討し、聴覚情報のみで相互作用が生じうる可能性が示された。この結果は、走運動における後続の走者が先行する走者へ影響を及ぼす可能性を示すものである。 さらに、これまでの研究において明らかになった意思決定におけるリスク志向バイアスについての解説記事を公表した。また、リスク志向バイアスの原因を明らかにするためのオンライン実験系を構築して研究を進め、一部の結果については論文リポジトリに公表した。 加えて、関連研究が専門誌の注目論文(PLoS Research Showcase)に選定され、日本基礎心理学会優秀発表賞や日本機械学会スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス学生優秀講演表彰を受賞するなど、外部からの評価を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各研究について、論文公表ならびに投稿準備が進んでいる。また、公刊論文が専門誌の注目論文(PLoS Research Showcase)に選定され、関連する学会発表が日本基礎心理学会優秀発表賞や日本機械学会スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス学生優秀講演表彰を受賞するなど、外部からの評価を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、運動スキルの学習および制御に関わる個人差要因を、1)情動/筋緊張、心拍/呼吸、姿勢/体幹、2)リズム/協調(コーディネーション)、3)時空間知覚/制御、視覚/注意、4)意思決定、の4階層に分類し、階層間の関係を明らかにするとともに各媒介変数が運動学習の個人差に与える影響を明らかにしたうえで、運動学習における個人の「伸びしろ」を特定し、学習の支援環境構築を目指している。引き続き、多様な身体スキルを対象としてこれらの複数階層において特定可能な「パフォーマンスの伸びしろ」特定に努め、これを利用した学習支援環境の構築を目指すこととする。
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