研究課題
基盤研究(B)
肝糖取り込みは、グルコキナーゼ(GK)とその活性調節タンパク質(GKRP)により制御される。研究代表者らは、過栄養・肥満において、GKRPアセチル化によるGK活性阻害が、肝糖取り込み障害・高血糖の原因となることを見出した(Nat Commun 2018)。しかし、過栄養・肥満では、GK活性化も、非アルコール性脂肪性肝疾患や耐糖能障害を誘導することから、糖脂質代謝恒常性におけるGK/GKRP・肝糖取り込みの役割とその制御の解明は進んでいない。本研究課題では、GK/GKRP機能に関わる変異マウスを用い、生活習慣病におけるGK/GKRP・肝糖取り込みの役割を解明する。
我々は、肥満・インスリン抵抗性における肝糖取り込み障害が、グルコキナーゼ活性化障害に起因すること、さらに、グルコキナーゼ活性化障害のメカニズムとして、グルコキナーゼ結合蛋白質GKRPのアセチル化が重要であることを見出している。我々はGKRPのアセチル化部位が126番リジン残基であることを見出し、GKRP非アセチル化を模倣するK126Rマウスおよび、アセチル化を模倣するK126Qマウスを作製した。本研究において、GKRP非アセチル化変異が、肥満・糖尿病マウスでのインスリン抵抗性・脂肪肝を軽減し、GKRPアセチル化変異が、耐糖能障害を起こすことを見出した。
GKRPのK126非アセチル化が、高脂肪食摂餌肥満マウスでの耐糖能異常・インスリン抵抗性を軽減することは、GKRP-K126のアセチル化制御機構が、肥満に伴う耐糖能異常・インスリン抵抗性の治療標的となることを示唆している。グルコキナーゼの恒常的活性化は、脂肪肝を増悪させ、インスリン抵抗性を増悪することから、今日では、グルコキナーゼは肥満・インスリン抵抗性の治療標的分子と考えられていない。GKRP-K126非アセチル化は、肥満でのGK活性化障害を抑止するが、その恒常的活性化は起こさない。本研究の知見は、グルコキナーゼおよびGKRPの肥満・インスリン抵抗性治療標的としての再評価へとつながる。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)
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