研究課題/領域番号 |
20H04140
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
首藤 裕一 法政大学, 情報科学部, 准教授 (50643665)
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研究分担者 |
大下 福仁 福井工業大学, 工学部, 教授 (20362650)
泉 泰介 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (20432461)
増澤 利光 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (50199692)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 個体群プロトコル / ナノスケールネットワーク / 自己安定 / 緩安定 / 故障耐性 / リーダ選挙 / ゆらぎ / 頑健性 / 分子計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,膨大な数の極小デバイスで構成されるナノスケールネットワークにおいて,一部デバイスの物理的な障害によって不安定な状態に陥ったネットワークを高速に復旧する技術の実現を目的とする.障害発生時に自律復旧する頑健なナノスケールネットワークの設計は極めて困難であることが知られており,実用化の障壁となっている.本研究は,障害が発生していない平常時にもわずかな確率で異常状態に陥る「ゆらぎ」を許容することをアプローチとして,ナノスケールネットワークにおいても超高速かつ頑健なアルゴリズム群を実現するための基盤技術を確立することを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究は、膨大な数の極小デバイスで構成されるナノスケールネットワークにおいて、一部デバイスの物理的な故障などの障害によって不安定な状態に陥ったネットワークを高速に復旧するための基盤技術の確立を目的とする。極小デバイス群で構成されるナノスケールネットワークにおいては障害への耐性が強く求められる一方で、障害発生時に自律復旧を行う頑健なナノスケールネットワークの設計は極めて困難であることが知られており、実用化の障壁となっている。本研究は、障害が発生していない平常時にもわずかな確率で異常状態に陥る「ゆらぎ」を許容することをアプローチとして、ナノスケールネットワークにおいても超高速かつ頑健なアルゴリズム群を実現するための基盤技術を確立することを目指す。本研究によって、ナノスケールネットワークの障害耐性を汎用的かつ著しく高めることが期待できる。
本研究課題3年目となる令和4年度は、初年度、第2年度に続き、重要な結果を得ることができた。まず、第2年度の終わりに考案したナノスケールネットワークの形状が円環である場合のリーダ選挙アルゴリズムについて、このアルゴリズムが理論上最速かつの頑健に動作することを証明した。さらに、このアルゴリズムが動作するためにネットワークが満たすべき条件を緩和することに成功した。この結果をまとめた論文は、分散計算理論の最難関会議であるPODCに令和4年度末に採択が決定し、翌年度6月に米国で発表予定である。また、ナノスケールネットワークで順位付け問題を解く頑健なアルゴリズムを実現するために必要な衝突検知を、既存手法に比べて格段に高速に行う技術を考案することに成功した。他にも、ナノスケールネットワークに関連する移動体モデルにおいて複数の新たなアルゴリズムの考案に成功し、論文誌や国際会議に採録・採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り、ナノスケールネットワークの形状が円環である場合のリーダ選挙アルゴリズムについて、このアルゴリズムが理論上最速かつの頑健に動作することを証明するとともに、ナノスケールネットワークで重要な問題を頑健に解くために必要な要素技術を考案することに成功した。本年度に予定していた自律復旧コンパイラの設計の成功には現時点で至っていないものの、上記成果を勘案して総合的に判断すると、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。他にも、ナノスケールネットワークに関連する移動体モデルにおいて複数の新たなアルゴリズムの考案に成功し、論文誌や国際会議に採択された。ナノスケールネットワークおよび頑健な分散アルリズム、移動体計算など本研究に密接に関連する今年度(令和4年度)研究業績として、査読付き国際会議8件、学術論文誌3件の採択・採録を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる令和5年度は、自律復旧コンパイラの設計に着手する。ここでいう自律復旧コンパイラとは、障害耐性を持たないアルゴリズムを、障害発生から超高速に自律復旧するアルゴリズムに変換する汎用的変換手法のことである。上述の通り、本研究課題はこれまでかなり順調に進捗してきたが、当初の研究計画に含めていたこのコンパイラの設計にはまだ成功していない。また、令和4年度に発見した順位付け問題を高速かつ頑健に解くための要素技術にはいくつかの改善事項があるので、これの改善にも取り組む。順位付け問題は多くの問題で必要とされる基本的かつ重要な問題であるので、この要素技術の改善は理論的・工学的に重要である。
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