研究課題/領域番号 |
20H04253
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊庭 斉志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (40302773)
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研究分担者 |
長谷川 禎彦 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (20512354)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 進化計算 / 深層学習 / ニューロ進化 / 動力学的解析 / 複雑系モデル / ディープラーニング / モジュール性 / ロボティクス / 最適化計算 / 遺伝的アルゴリズム / 動力学系解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ディープニューロ進化のモチーフ構造に基づく機能創発を目的とする.ここでのモチーフ構造とは,生物学用語のDNAにおける単純な類似性ではなく,共通の祖先に由来して同じ機能を生じる要因となる構造を意味し,より深い情報論的特徴を示唆している.本研究では,ディープニューロ進化の時間的発達過程を非線形力学系と情報統計力学の手法を用いて解析し推定する.その結果に基づいてネットワークモチーフの時間発展を制御することで,的確なネットワーク発現と機能創発を実現する.提案する手法の有効性を,ロボティックス,合成生物学,創造支援と工学的最適化などの多岐にわたる分野で検証する.
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研究実績の概要 |
本研究では,ディープニューロ進化のモチーフ構造に基づく機能創発を目的とする.モチール構造とは、ニューロ進化の遺伝子型において入れ子式に組み合わさった情報の流れや集合形成などに寄与する情報論的により深い特徴を意味する.この研究の遂行のために本年度には,提案した手法をさまざまな実際的応用に適用した. ロボティクスついては複数ロボットの協調作業などを中心に引き続き検証を行った.また新たな応用として,工学的最適化問題や創発デザインの適用を試みた。 とくに、ロバストネスと進化可能性の考え方が本研究でのモチーフ性において重要と考えられるため、ニューロ進化で得られた発現型(ニューロンのつながり方)のさまざまな幾何構造(左右対称性,不完全な対称,周期性・変化を伴う繰り返しなど)の解析を試みた。 具体的には、制御の分野に本提案手法を適用して、複雑な非線形系問題などに必要な調整機能を進化計算に基づく最適化によって的確に実現した.予測モデルの機能は,優れた非線形関数近似器である深層学習モデルによって強化される.従来手法では非常に計算が複雑なアルゴリズムであったが、本研究課題の提案手法を利用することで,収束時間を短縮しつつ予測制御の品質を向上させることを実験的に確認した. さらに、X線投影画像の医療へのニューロ進化の応用を新たに試みた.この研究では、古典的手法と深層学習を組み合わせることで、多視点のX線画像から高精度なCT画像を生成することを目指した.実際にX線画像から作成したデータを用いてその手法に関する有効性を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本手法の有効性が制御分野や創発デザインで検証され、その成果を学術雑誌や国際会議で報告した。具体的には、予測制御における逆モデルのためのディープニューロ進化の構築を試みて,深層学習と逆ダイナミクスの概念を統合した制御アルゴリズムを提案した。さらに,進化計算に基づく予測調整機能の有効性をさまざまな動的システムに対する実験的な検証により明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度には,提案した手法をさらに実際的応用に適用する.ロボティクスついては複数ロボットの協調作業などを中心に引き続き検証を行う.また新たな応用として,工学的最適化問題や創発デザイン(X線データによる危険物検出や医療情報処理など)を扱う.例えば,危険物検出はセキュリティ上の理由や検出機器の違いに起因して学習データが大量には入手できず,従来の画像処理技術を超えたチャレンジングな工学的最適化問題である.これらの研究のために必要なデータ収集はすでに行っている。
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