研究課題/領域番号 |
20H04406
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鬼丸 武士 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (80402824)
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研究分担者 |
岡田 友和 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (10727788)
吉田 信 南山大学, 国際教養学部, 教授 (60314457)
鈴木 英明 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (80626317)
堀内 隆行 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90568346)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | サーベイランス / 予防 / 治安秩序維持 / 公衆衛生 / 植民地統治 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は19世紀末から20世紀初頭のアジア、アフリカ地域の植民地において、治安秩序維持と公衆衛生上の、反植民地運動の活動家や感染症を引き起こす病原体といった「不可視」の脅威に対して、予防を目的とした監視がどのようにおこなわれていたのかを、植民地域内での予防と監視の実態の解明と、境界を越えて移動するヒトに対する予防と監視のネットワークの解明の二つの側面から明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、19世紀末から20世紀初頭のアジア、アフリカ地域の植民地において、植民地抵抗運動や共産主義運動にたずさわる活動家や、感染症を引き起こす病原体といった「不可視」の、治安秩序維持と公衆衛生上の脅威に対して、予防を目的とした監視がどのようにおこなわれていたのかを、植民地域内での予防と監視の実態の解明と、境界を越えて移動するヒトに対する予防と監視のネットワークの解明の、二つの側面から明らかにすることを目的としている。 この研究目的を達成するために、本研究は(1)先行研究のサーベイと分析、(2)各国アーカイブでの史資料調査、(3)収集した史資料やデータの整理と分析、(4)国内定例研究会や国際ワークショップでの調査・分析結果の共有と検討、(5)研究成果の公開と発信、の5つのプロセスで遂行する。 2021年度の活動については、新型コロナ・ウィルス感染症のパンデミックが続いていたこともあり、各国アーカイブでの史資料調査を実施することは出来なかった。そのため、引き続き先行研究のサーベイと分析、オンラインで利用可能な史資料の収集と分析、国内定例研究会での分析結果の共有と検討を中心に研究活動を実施した。国内定例研究会は、2021年11月、22年1月、3月の3回開催し、南アフリカ、インド洋海域、仏領インドシナ、蘭領東インド、英領マラヤ、米領フィリピンでの予防と監視について、先行研究やオンライン史資料の分析結果を共有し、その内容について検討した。その結果、活動家については警察資料に登場する人物の特定をどうするのかに大きな課題があること、また感染症についてはペストとコレラ対策が鍵となることなどが明らかになった。また、小樽や横浜、大阪、神戸などで、ヒトやモノに対するサーベイランスがどのように実施されていたのかについて、主に水上警察の活動などに焦点を当て、予備調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ・ウィルス感染症のパンデミックが継続しているため、予定していた海外アーカイブでの史資料調査を実施することが出来なかったが、先行研究のサーベイと分析、オンラインで利用可能な史資料のサーベイと分析をおこない、その結果を国内定例研究会で共有検討し、移動するヒトに対する予防を目的としたサーベイランスと、感染症の拡大を防止することを目的とした情報交換のスキームについて、前者については人物の特定をどのようにおこなおうとしていたのか、後者についてはコレラとペストに対する対策が鍵となることが明らかになった。オックスフォード大学の医療史研究グループとの国際共同研究についても、成果となるアジアの植民地における治安秩序維持と公衆衛生のサーベイランスに関する英文編著の編集作業を引き続き共同で進めている。海外での調査活動はおこなえなかったが、日本国内でのサーベイランスに関する予備調査を本年度から開始した。以上から本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ・ウィルス感染症によるパンデミックの状況を引き続き注視しつつ、可能な範囲で海外アーカイブでの史資料調査を実施する。また国内定例研究会での研究結果の共有と検討を通じて、本研究成果の取りまとめに向けた取り組みを加速する。オックスフォード大学の医療史研究グループとの国際共同研究については、成果となる英文編著の出版に向けて、編集作業を引き続きおこない、あわせて出版社との間の交渉を開始する。
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