研究課題/領域番号 |
20H04534
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
ハラ エミリオ・サトシ 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (40779443)
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研究分担者 |
松本 卓也 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40324793)
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60613156)
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70304326)
岡田 正弘 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (70416220)
藤枝 俊宣 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70538735)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 骨髄初期形成 / 細胞膜断片 / 海綿骨 / アパタイト / 細胞膜ナノフラグメント / 骨髄初期形成過程 / 生体材料 / 組織工学 / 組織構築 / バイオミメティック / 細胞操作 / 骨髄形成 |
研究開始時の研究の概要 |
バイオミメティクス(生体模倣)は、生体・生物の構造や機能、生産プロセスなどから着想を得て、新しい技術や材料、デバイスなどを開発する科学技術である。一方、バイオミメティクスに基づいて生体組織の構造と機能を精密に再現することで生命現象の理解も深化できる。 本研究では、「細胞膜ナノフラグメント」を核とした「海綿骨-骨髄形成過程」について生物学・材料科学的に解析する。得た知見のもとに、骨髄初期形成過程をin vitroで模倣・構築し、その制御を試みる。以上の結果をもとに、細胞膜ナノフラグメントを基盤とした骨髄の初期形成メカニズムを再検討し、より深い理解を目指す。
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研究実績の概要 |
骨髄組織中には、すべての血液細胞(白血球、赤血球、血小板)のもとである造血幹細胞とそれを維持する間葉系幹細胞が「幹細胞ニッチ」と呼ばれる特別な微小環境にて存在している。この骨髄および幹細胞ニッチの形成メカニズムを理解することは、造血疾患の新規治療薬開発に必要なドラッグスクリーニングや新規再生治療技術の開発などの新たな展開に繋がるが、その詳細なメカニズムについて不明な点が多く残っている。我々は、これまで、軟骨細胞の膜ナノフラグメントが海綿骨形成の起点となることを報告し、そして、この細胞膜ナノフラグメントが骨髄形成にも関与していると考えた。 本研究では、まず骨髄初期形成過程について、生物学的・材料科学的手法を用い、系統的な解析を行うことを目的とした。次に、リバースエンジニアリング的なアプローチにより細胞膜ナノフラグメントを材料として用い、その形成過程をin vitroにて再現することで、骨髄の初期形成メカニズムを再検討し、より深い理解を目指す。 これまでに、骨髄初期ステージを同定し、また、軟骨組織に侵入する細胞集団も一部同定した。一方、骨髄初期では、海綿骨のアパタイトクラスターの形態が皮質骨のアパタイトクラスターと比較し、10倍程大きく、全く違う構造を示すことが分かった。 次に、リバースエンジニアリング的なアプローチから、細胞膜ナノフラグメントを導電性ポリマーの表面に化学的に結合させ、電位変化により、細胞膜ナノフラグメントの石灰化を制御した。そして、構造解析を行った結果、酸化還元電位により、異なるサイズと形態のアパタイトクラスターが形成されることが明らかとなった。さらに、形成されたアパタイトクラスターの上に間葉系幹細胞を培養し、これらの細胞の骨分化能を検討した。その結果、大きいアパタイトクラスターで培養した間葉系幹細胞は、骨芽細胞にもっと分化していたことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度では、骨髄初期形成について、そのタイミング・部位を同定した。また、軟骨組織に侵入する細胞集団の一部も同定した。空間的トランスクリプトーム解析も行い、骨髄形成過程における遺伝子発現Mapを構築した。 一方、細胞膜ナノフラグメントを導電性ポリマーの表面に結合させ、細胞培養可能なチップを構築した。また、酸化還元の異なる条件により、細胞膜ナノフラグメントの石灰化能を制御し、細胞膜ナノフラグメントの石灰化を制御した。そして、形成されたアパタイトクラスターの上に間葉系幹細胞を培養し、これらの細胞の分化能を制御した。以上のことを踏まえ、当初の計画と比較し、概ね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度では、これまでに構築したin vitro細胞培養チップを基盤に、造血幹細胞を培養し、これらの細胞の長期培養に必要な条件(例:骨アパタイト、成長因子など)を検討する。具体的には、導電性ポリマーの表面に結合させた細胞膜ナノフラグメントの石灰化能を制御し、その表面上に間葉系幹細胞・造血幹細胞を培養し、様々な培養条件を試みる。
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