研究課題/領域番号 |
20J11197
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
川原 遼太 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2020年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 血管擬態 / ErbB4 / 細胞表面受容体 / MetAP2 / Tyrosinase |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、がん悪性化に寄与する血管擬態について、その存在や進行度の指標となるマーカータンパク質を同定することである。血管擬態とは、がん細胞自身が血管のように擬態することで腫瘍内血管を作り出し、腫瘍成長のエネルギー源となる血液の循環を促す現象である。そのため、血管擬態形成時に特異的に発現するタンパク質を同定し、それをバイオマーカーとして応用できれば、がんの予後診断や治療法選択を改善させられることが期待できる。本研究では、培養細胞を用いた実験により血管擬態のマーカータンパク質を同定することを目指す。
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研究実績の概要 |
がん細胞の血管擬態におけるマーカータンパク質を探索するため、3つの遺伝子に焦点を当て、それらが血管擬態形成を制御し得るか否かを調べた。 ErbB4は、がん遺伝子として有名なEGFRやHER2と同じファミリーに属する遺伝子である。しかし、ErbB4とがんの関係については明確でないのが現状である。そこで、ヒト乳がん細胞株を用いて解析を行った結果、ErbB4が血管擬態形成を抑制することが明らかになった。一方で、リガンド刺激や遺伝子変異によりErbB4を活性化させると、血管擬態形成を促進させることが示された。さらに、EGFR阻害剤として知られているアファチニブを細胞に処理することで、ErbB4を介した血管擬態形成が効果的に抑制できることを示した。これらの結果により、ErbB4は血管擬態を正負に調節することでがんの進行に関与することが明らかになった。 MetAP2は血管新生に寄与する遺伝子として知られているが、血管擬態における役割は分かっていない。そこで、阻害剤処理や遺伝子ノックアウトにより解析した結果、MetAP2の阻害によりヒトがん細胞の血管擬態が著しく抑制されることが明らかになった。 Tyrosinaseはメラニン産生において必要不可欠な酵素であるが、メラノーマにおける役割はほとんど分かっていない。そこで、メラノーマ細胞においてtyrosinase遺伝子を欠損させた結果、血管擬態形成が促進した。また、色素欠乏症で報告されたアミノ酸変異が、tyrosinaseの血管擬態制御能に影響を与えることを示した。 以上のように、がん細胞の種類によって血管擬態を制御する遺伝子が異なり、各々の遺伝子は血管擬態のマーカーとして有望である可能性が示された。また、これらの遺伝子は既に阻害剤も開発されているため、がんの治療標的としても有望である。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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