研究課題/領域番号 |
20K00101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
後藤 正英 佐賀大学, 教育学部, 教授 (60447985)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | メンデルスゾーン / カント / 寛容 / 進歩 / 啓蒙 / フォアスト / 民族宗教 / ユダヤ教 / リトアニア / ポール・ガイヤー / レオ・シュトラウス / フェミ二スト神学 / 宗教 / 魂の不死 / 国際研究交流 / ジェンダー / ヴィシュワナータン / 国際共同研究 / ドイツ |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀に入り、不寛容や排外主義を示す事件が多発する中で、一時期は過去の言葉となった「寛容」に注目が集まるようになった。現代的な意味での寛容論の出発点は17-18世紀のヨーロッパにある。本研究は、18世紀ドイツの啓蒙主義を代表する哲学者メンデルスゾーンが、キリスト教徒が多数派を占めるドイツ社会において、外部のドイツ社会と内部のユダヤ共同体の間で、寛容をめぐってどのような議論を展開したのかを探究し、その歴史的実像と現代的意義を明らかにしたい。
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研究成果の概要 |
宗教的寛容論は、近代のユダヤ人がヨーロッパ世界へ参入していく際に重要な役割を果たした思想である。本研究では、18世紀ドイツで活躍したユダヤ人の哲学者モーゼス・メンデルスゾーンを具体例として、当時の複雑な社会状況の中で、「寛容」と「不寛容」をめぐって、どのような議論が行なわれたのかを分析した。特に、メンデルスゾーンが、外側のキリスト教社会からの不寛容に対して、どのような対抗言説を展開していたのかを明らかにした。彼は、寛容という当時の流行語がマジョリティ側の同化主義に基づいていることを敏感に察知していた。これは、現代の政治哲学者フォアストの用語では、寛容の許可構想として性格づけられるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
社会の分断が深刻化する近年の状況において、寛容な社会の実現は喫緊の課題である。モーゼス・メンデルスゾーンは、理性の普遍性と宗教文化の多様性の両立を目指し、ユダヤ人への差別に対抗して哲学を遂行する中で、人間の真の尊厳に対する思索を深めた人物であった。私の研究は、彼の先進的な思想の現代的意義を明らかにするものである。今回、パンデミックにより海外の学会での対面発表が中止になったことから、海外渡航のための予算を使用して、研究成果を一冊の単著として刊行した。この分野に関する情報を一般読者も読める形で提供したことは、社会的意義が大きいといえる。
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