研究課題/領域番号 |
20K00155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 国立音楽大学 |
研究代表者 |
堀 朋平 国立音楽大学, 音楽学部, 非常勤講師 (10723398)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | プラトン / パイドロス / グノーシス / 信仰告白 / 典礼文の削除・編集 / 悲劇と救済 / キリスト教 / 新プラトン主義 / ロマン主義 / 精神分析 / 悲劇 / クレド / 教会音楽 / ファウスト / 古代悲劇 / 修辞学 / アリストテレス / シラー / マテウス・コリン / シュレーゲル兄弟 / シューベルト / 古代 |
研究開始時の研究の概要 |
フランツ・シューベルト(1797-1828)の創作と人生に古代の知が与えた影響を、三つのトピックから明らかにする。第一に、19世紀初頭のウィーンにおけるリベラルないし異教的とも呼べる宗教性の影響。第二に、哲学界と演劇界を火元としてウィーンを席巻していた悲劇思想の影響。第三に、知識人や友人たちが傾倒していたプラトン(主義)の影響。分析対象は、哲学書をはじめとするマクロな思想的背景、書簡をはじめとする友人たちの思想、楽譜をはじめとする音楽テキストである。 ときに状況証拠による仮説を織り交ぜつつ上記の実証的アプローチをとることで、音楽背後に広がる歴史性を明らかにすることが、本研究の目的である。
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研究成果の概要 |
18世紀末にヨーロッパの知識人界隈で急速に広まった古代の遺産が、シューベルトの創作に与えた大きな影響を、3つの領域にわたって解き明かした。第一に、プラトン思想、なかんづくその『パイドロス』『饗宴』に語られるエロスの思想が「愛Liebe」となってシューベルトの音楽と文章に現れたこと。第二に、リベラルな宗教観のもと広がっていたグノーシス性が、友人マイアホーファーを介してシューベルトの音楽づくりに生涯にわたる影響をもたらしたこと、第三に、キリスト教の「救済」にそぐわない「悲劇」思想がシューベルトを動かしていたこと、である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、もっとも直接的な次元では、雑誌『美学』(2022)、東京大学文学部の英文紀要(2020)、そして単著(2023)という、普及力のある3つの紙媒体で発表された。のみならずその成果を、数々の講演で、よりかみ砕いた形でさまざまな層にアピールできた。おもな発表の場は、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会、カルチャーセンター、現役の演奏家・作曲家・批評家とともに行っているオンライン勉強会、の3つである。以上によって、学術的な波及力のみならず、演奏家・市井の愛好家に対する研究成果の還元が、有機的に行われた。
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